2008年 02月 04日
ヒト胚性幹細胞から網膜 失明治療に期待
あらゆる細胞に分化する万能性を持つヒト胚性幹細胞(ES細胞)から、網膜の細胞を効率よく作ることに理化学研究所と京都大の共同研究チームが成功した。細胞移植によって網膜を再生できれば、失明の恐れがある網膜疾患の根本的な治療法につながると期待される。米科学誌「ネイチャー・バイオテクノロジー」(電子版)に3日、掲載された。 視野が著しく狭くなる網膜色素変性や、視力が低下する加齢黄斑変性などの網膜変性疾患は、高齢者の失明原因の上位を占める。網膜はいったん損なわれると修復が極めて困難なため、有効な治療法はほとんど確立されていない。 理研発生・再生科学総合研究センターの高橋政代チームリーダーは「安全性の検証などまだ多くの課題があるが、10年以内に臨床応用の試験を開始したい」としている。 研究チームはマウスやサルのES細胞を使った実験から、網膜細胞を誘導するための2種類の物質を特定。これをヒトのES細胞に使って培養した結果、網膜に栄養を供給する網膜色素上皮細胞や、光を電気信号に変えて脳に伝える視細胞を作り出すことに成功した。 ヒトES細胞由来の視細胞は従来、作製効率が0・01%以下と極めて低かった。今回の手法は効率が20~30%と飛躍的に高まったほか、感染症の恐れがある動物由来の組織を培養過程で使わない利点もあるという。 研究チームは今回の成果を応用して、人工多能性幹細胞(iPS細胞)から網膜細胞を作る研究にも着手しており、拒絶反応のない網膜再生医療の実現を目指す。 20/02/04 07:49 ヒトES細胞から網膜 失明治療に期待
by unkotamezou
| 2008-02-04 07:49
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