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マツダは唯一「水素」で勝負…エコカー、独自技術で安価に

 自動車メーカー各社が環境に優しい「エコカー」開発にしのぎを削るなか、マツダは国内メーカーでは唯一、水素自動車の開発で勝負を挑んでいる。燃料電池自動車に比べて、「安価に提供できる」(マツダ関係者)のが強みの一つだ。昨年11月にはノルウェーの国家プロジェクトに参画するなど普及に向けて意欲的に取り組んでいる。しかし、肝心の水素を供給するインフラが未整備など課題も多い。

■ 弱点クリア

 水素をエネルギーにして走る車には、ホンダや日産自動車などが開発を進める燃料電池車と、マツダが採用する水素自動車の2つのタイプがある。いずれも二酸化炭素(CO2)排出量がゼロのエコカーだ。

 ただ、両タイプには大きな違いがある。燃料電池車は水素と酸素の反応で生じた電気で走る仕組みだ。エンジン音はせず、静粛な走り心地が特徴。しかし「走った実感がない」(自動車関係者)との指摘もある。“核”であるリチウムイオン電池は過充電すると発熱・炎上するなど安全性の問題も付きまとううえ、コストも高くなりがちだ。

 これに対し、水素自動車は水素そのものを燃料にして走るのが特徴。車自体に電池を搭載する必要もないため、燃料電池車に比べてコストが安くつくのが利点だ。走った際にはエンジン音もするため、ガソリン車の走行感覚を残したエコカーともいえる。

 一方で、水素はガソリンの10分の1のエネルギーで着火するため異常燃焼が起きやすい。こうした弱点をカバーしたのがマツダの独自技術であるロータリーエンジン。従来の車では一般的なレシプロエンジンで水素をエネルギーに使うと「燃焼」と「吸気」の行程が同じ“部屋”で行われているため、異常燃焼の可能性が高まってしまう。ロータリーエンジンは両行程が別の“部屋”であるため、異常燃焼が発生しにくい。独自技術が奏功して、水素が持つ弱点をクリアし、「究極のエコカー」(マツダ幹部)を作り上げた。最大の難点は水素を供給する「ステーション」が少ない点だ。

 国内には経済産業省が主体となって作った水素ステーションは都内や横浜、川崎、愛知県など12カ所(平成18年時点)しかない。マツダも平成17年に広島県の自社敷地内に水素ステーションを設置しているが、まだまだ水素の供給インフラは十分ではない。

■ 海外と交流

 こうした難点を打開すべく、水素社会実現に積極的な国と交流を深めることで普及していく取り組みを始めた。昨年、ノルウェーで水素インフラ整備を促進する国家プロジェクト「ハイノール」への協力に合意。今年夏から水素自動車「RX-8ハイドロジェンRE」30台をノルウェーに順次納入する計画だ。

 マツダにとっては寒冷地で走行データを収集できる利点と同時に、ノルウェーを通じてマツダの技術力をアピールし、水素自動車の普及につなげていく狙いもある。

 未来のエコカーはハイブリッドカーや電気自動車など選択肢が多いものの、確実な本命の見極めはまだできていないのが実情だ。今は各社がもつ技術を結集し、理想のエコカーを作り出す試行錯誤の段階にあるようだ。(福田雄一)

平成二十年一月二十八日 日本工業新聞

マツダは唯一「水素」で勝負…エコカー、独自技術で安価に
by unkotamezou | 2008-01-28 23:31 | 自然 科學 技術