2006年 09月 10日
「はれもの」扱いで長年放置 集団的自衛権、米批判うけ議論に
「はれもの」扱いで長年放置 集団的自衛権、米批判うけ議論に
「ポスト小泉」に課せられた宿題となった集団的自衛権。その概念は、一九四五年に発足した国連の基本理念である集団安全保障に対抗する形で生まれた。 国連の集団安全保障論は、ある国が国連加盟国に対して武力攻撃を仕掛けた場合、それを加盟国全体への武力攻撃とみなし、制裁を加えるというものだ。ところが、南米の小国などが「国連が駆けつけてくれるまでの間、武力攻撃を受けたらどうするのか」と反発。そこで、制裁の前提となる国連決議がなくても同盟国による「集団的自衛」を認める条文が憲章に盛り込まれた(五十一条)。 日本政府は、この新しい概念をどうとらえたのか。占領統治下の昭和二十五年二月、吉田茂首相は衆院予算委員会で、中曽根康弘氏に「仮説の問題に対してはお答えしません」と述べている。当時、集団的自衛権の行使は、あくまで「仮定の問題」だったわけだ。 その後、政府の見解は揺れ動く。昭和四十七年五月の参院内閣委員会では、福田赳夫外相が「(集団的自衛権行使の是非は)ケース・バイ・ケース」と、あいまいに答弁している。 政府の統一見解が初めて示されるのは昭和五十六年五月の政府答弁書。「わが国が、国際法上、このような集団的自衛権を有していることは、主権国家である以上、当然であるが、憲法第九条の下において許容されている自衛権の行使は、わが国を防衛するため必要最小限の範囲にとどまるべきものであると解しており、集団的自衛権を行使することは、その範囲を超えるものであって、憲法上許されないと考えている」と結論づけている。 政府がこのような解釈にいたった背景には、国内でベトナム戦争の長期化による反米感情の高まりがあったと指摘する意見がある。米国が南ベトナム支援の根拠に集団的自衛権を持ち出したことが、政府の集団的自衛権に対する消極策につながったとの見方もある。 集団的自衛権の行使が「仮定の話」でなくなった一九九〇年代以降も、内閣法制局主導の政府解釈は変更されていない。平成八年二月、大森政輔内閣法制局長官は「政府がその政策のために従来の憲法解釈を基本的に変更することは、政府の憲法解釈の権威を著しく失墜させる」と答弁。集団的自衛権をめぐる議論が長年放置されてきた背景に、法制局のかたくなな姿勢があったことは否定できない。 こうした状況に変化をもたらしたのが、平成十二年十月に発表されたいわゆる「アーミテージ報告」だ。「日本が集団的自衛権を禁じていることが両国の同盟協力を制約している」と断じ、日本政府をあわてさせた。 最近も、在日米海軍のケリー司令官が今月七日、「海上自衛隊が攻撃された場合、米海軍は守れるが、逆のケースで海自は米海軍を守れない。お互いを守りあう仕組みが必要だ」と述べ、集団的自衛権の行使を求めている。 平成十八年九月十日午前九時四十七分
by unkotamezou
| 2006-09-10 09:47
| 國防 軍事
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