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支那・北京で日本式スーパー大繁盛
反日より新鮮食材? 中国・北京で日本式スーパー大繁盛

 反日感情が高まっているといわれながら中国・北京では、日本式スーパーの評判がすこぶるいい。反日デモの逆風の中、開店したイトーヨーカ堂出資の日中合弁食品スーパーも連日7000人以上の買い物客がレジを通る。応対やサービスの細やかさ、鮮度管理がぬきんでており、民族系、欧米系スーパーともこぞってまねするほどという。中国人の根強いナショナリズムを凌駕(りょうが)する日本式スーパーの魅力を探ってみる。(北京 福島香織)

≪接客あいさつ≫

 「歓迎光臨(いらっしゃいませ)」「稍微等一下(少々お待ちを)」。約百人の若者たちがお辞儀をしながら接客あいさつを大声で繰り返し叫び続けていた。日本のイトーヨーカ堂、ヨークベニマルが中国の王府井百貨店と合弁で北京市に出店した生鮮食品スーパー・北京王府井洋華堂の社員教育風景だ。

 反日デモ騒ぎの最中の四月三十日の一号店オープンに続き、七月中旬に二号店を出店する。新店舗を支える中国人社員に約四十日かけて日本式スーパー商法をたたき込むのだ。

 「最初の二日間はお辞儀、あいさつや笑顔の練習の繰り返し。プライドの高い北京人にはこれは大変なことなんです」と説明するのは萩原忠孝総経理。三分間笑顔を保つといった過酷な訓練もある。

 が、こうして育てた社員は優秀で競合他社の引き抜きターゲットにもなっている。二〇〇三年春に、民族系スーパー華聯集団が、ヨーカ堂の社員五十人を一度に引き抜き新店舗をつくったほどだ。

≪欧米系の見本≫

 日本式スーパーの特徴はお辞儀だけではない。北京王府井洋華堂やヨーカ堂が出資する総合スーパー華堂商場に来た消費者の声を拾ってみると、「トイレがきれい」(女性二十五歳)「チラシをみて来た。今日はひき肉が安いそうね」(女性六十三歳)「新鮮で管理がいい。傷んだものも平気で売る民族系スーパーは見習うべきだ」(女性四十一歳)。

 礼儀正しい、新鮮、衛生的。さらにチラシ、イベント・セール、試食といった工夫がある。

 コンピューターで商品別の販売数や日付を的確に管理したり、野菜を一度水にいれてみずみずしさを取り戻してから店内に並べるなどの鮮度管理も、中国ではまだ目新しい。これら日本式スーパー文化は消費者から強い支持があり、カルフールなど欧米系スーパー、民族系でも大手の華聯などは積極的にまねしようとしている。

 一時間ごとのトイレ掃除、手すりやカートの消毒など衛生管理も徹底。華堂商場の麦倉弘総経理は「新型肺炎(SARS)流行のとき、日系スーパーなら安心だとの評判がたった」と自信を見せる。日本食ブームが広がっていることも追い風だ。王府井洋華堂では一日におにぎり三百個が売れる。欧米系スーパーでもすしなどを置いているが、品ぞろえと鮮度は本家が勝る。

 麦倉総経理は「その日の気温までチェックし、熱い日はスイカを前に出してディスプレーしようとか、売るための努力と工夫は負けない」という。

≪戦国時代突入≫

 外資系スーパーの雄、仏系カルフールは昨年末までに全国六十二店舗を展開、年間売り上げは全国五位の百六十二億四千万元(一元=約十三円)となったが、一店舗あたり売り上げは二億六千万元。ヨーカ堂は「一店舗あたりの年間売り上げ平均が六億-七億元」。華堂商場成都店は四月二日、反日デモの襲撃に遭い、ガラスを割られるなどの被害にもあったが、その翌日も買い物客でにぎわった。

 中国では昨年十二月から小売り流通業の規制緩和が進み、中国スーパー市場は戦国時代に突入した。つり銭を投げるような接客態度や賞味期限切れの商品を平気で売る中国式が淘汰(とうた)されるのは必至。麦倉総経理は「良いものをリーズナブルに気持ちよく買いたいという消費者心理の前に、反日など関係ない」と、日本式がスーパー戦国時代の勝者になることを予感している。

06/02 08:32
by unkotamezou | 2005-06-02 08:32 | 産業 經濟