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断交後初、台湾人に叙勲「緊密化へ一歩前進」
断交後初、台湾人に叙勲…「緊密化へ一歩前進」

 【台北=石井利尚】日本と台湾が1972年に外交関係を断絶して以来初めて、台湾人が日本の叙勲を受章した。

 もともと、親日的な住民が多い台湾だが、台湾の知日派らの間では、日台交流の励みになると歓迎する声が広がっている。

 今春の叙勲で「旭日中綬章」を受章したのは、元台湾日本語教育学会理事長の蔡茂豊・東呉大客員教授(71)。台湾の日本語教育と教育史の第一人者で、文法解説書など多数の著作は教科書的な存在となっており、教え子は台湾全土の大学など日本語教育の第一線に立っている。蔡さんは「長年、日本語教育に尽力してきた台湾人全体の受章だ」と喜びを語った。

 日台断交前は、71年の辜振甫・台湾工商協進会理事長(故人)ら台湾人も受章していた。だが、断交・日中国交回復後、日本側に「中国に配慮する雰囲気」(外務省関係者)があり、台湾の受章者はいなかった。今回、政府は「叙勲は国籍ではなく個人に贈られるもの」として、授与に踏み切った。この間、中国人は中日友好協会の幹部らが受章してきた。

 日本植民地時代に育った台湾の日本語世代には「日本政府は台湾に冷たい」との思いが強いだけに、受章を「関係緊密化へ一歩前進」(日台関係筋)と評価する声が上がっている。

 蔡さんは、日本植民地時代の33年に南部の屏東県で生まれ、小学5年生まで日本語を使った。日本の敗戦後、国民党政権下で中国(北京)語が使われ、日本語は禁止された。台湾の成功大学では中国(大陸)文学を専攻。日本語教育に転身したのは、日中文学の比較研究のため留学した東京教育大(現筑波大)で出会った日本の恩師の勧めのためという。

2005年5月25日1時35分 読売新聞
by unkotamezou | 2005-05-25 01:35 | 歴史 傳統 文化