2005年 03月 05日
石遊び 外国人学者 小豆島で研究
石遊び 伝えなさる? 外国人学者 小豆島で研究
餌付けされた野生ザルだけにみられる“石遊び”と呼ばれる行動が、京都大学霊長類研究所(愛知県犬山市)に留学している動物学者によって解明されようとしている。瀬戸内海に浮かぶ香川県・小豆島での調査で約二十の行動パターンが確認され、世代間で伝承されている可能性もあるという。研究成果は六月までにまとめられ、同研究所で発表される予定だ。(高松支局小豆島通信部 堀之内照幸) 調査をしているのは、スリランカのスリ・ジャヤワルデネプラ大学講師、チャマリ・ナハラゲさん(36)と、フランス外務省の特別研究員で、ルイ・パスツール大学のジョン・レカ博士(31)。 サルの石遊びは、同研究所のマイケル・ホフマン教授が二十五年前に世界で初めて発表。石遊びは餌付けされたサルにしかみられないことから、餌を探す時間や労力に余裕ができたからでは-と分析している。 ただ、当時の調査範囲が、嵐山(京都府)と高崎山(大分県)に限られていたため、レカ博士らは、調査エリアを拡大。平成十五年四月からは、周りが海に囲まれ、個体の密度が高い小豆島の銚子渓自然動物園「お猿の国」(香川県土庄町)に生息する二グループのニホンザルを中心に、嵐山など計十グループを研究対象にしてきた。 これまで二人が「お猿の国」で確認した石遊びは、小石を集めてはまき散らす▽石を岩や地面にこすりつけたり、たたいたりする▽両手に石を持って打ち合わせる-など約二十パターン。 レカ博士によると、約八百匹のうち、かなりのサルにみられ、生後六カ月から八歳前後をピークに、約二十歳まで幅広く分布。行動は餌をほお張っているときに顕著に表れ、「小豆島では同園が与える小麦より、見学に来た観光客から与えられるピーナツをほお張っているときの方がより頻繁に遊ぶ」という。 レカ博士は、百匹から三百匹が互いに体を寄せ合う“サル団子”など他地域に比べて集団性が強く、親密に生活していることが世代間の遊びの伝承に深くかかわっているのではないかとみて、今後は各地の自然環境と伝承方法の関係について調べ、研究に反映させていくという。 ■京都大学霊長類研究所のニホンザル野外観察施設長、渡邊邦夫助教授(57)の話 「二人のように調査地域を広げ、綿密に石遊びを研究した例はない。“猿まね”という言葉があるが、サルはあまりまねをしない。石遊びには似たような行動がみられ、どこまでが同じ行動で、それがどう伝わっていくのか。地域や年齢、季節などの要因も含め、文化行動をとらえ直す研究として、非常に意義深い」
by unkotamezou
| 2005-03-05 17:55
| 自然 科學 技術
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