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カテゴリ:自然 科學 技術( 130 )
復活「はやぶさ」噴射続けば地球帰還可能に

 地球帰還へ向けて飛行を続けている小惑星探査機「はやぶさ」が月よりも内側を通る軌道に入った。

 宇宙航空研究開発機構が二十六日確認した。エンジン噴射があと数週間正常に続けば地球への帰還が可能になる。

 はやぶさは太陽の周りを地球とは少し違う軌道を描いて回っている。軌道を地球へと近づけるためにエンジンを噴射し続けていた昨年十一月エンジン四台のうち三台目が故障し帰還が絶望的になった。

 しかし壊れたエンジン二台を半分ずつ組み合わせるという裏技で奇跡的に復活。さらに噴射を続けとうとう軌道の差が三十一万キロメートルとなり地球と月の距離約三十八万キロメートルよりも縮まった。

 このまま順調に進めば三月下旬には軌道変更のための噴射を終え六月にオーストラリアへ落下する予定。

平成二十二年二月二十七日 午後三時四十八分

復活「はやぶさ」噴射続けば地球帰還可能に
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by unkotamezou | 2010-02-27 15:48 | 自然 科學 技術
世界一重い電子作製 京大 高温超電導に活用期待

 見かけの上で世界で一番重い電子を作ることに、京都大の宍戸寛明低温物質科学センター特任助教、松田祐司理学研究科教授らのグループが成功した。高温超電導体の作製などに役立つといい、米科学誌サイエンスで19日に発表する。

 電子は、周りの電子や磁気との相互作用で動きにくくなり、見かけ上の重さ(有効質量)が重くなる。自動車の排ガス浄化用触媒などに用いられているレアメタルの一つセリウムは、原子を構成する電子が特に重いことが知られている。

 松田教授らは、セリウム化合物の分子が二つ重なった層を、ほかの化合物で挟み込んだ結晶を作った。セリウム化合物の電子は、上下に移動できないため動きにくく有効質量が増す。真空中の電子に比べ千倍近い重さを達成した。これまで最も重いのは他のセリウム化合物の電子で約200倍だった。

 重い電子は物質内で揺らぎながら磁石のように働き、高温超電導に必要とされる特殊な磁気状態を作る。松田教授は「今回のセリウム化合物を使った高温超電導体を作りたい」としている。

平成22年2月19日9時29分

「世界一重い」電子作製 京大グループ 高温超電導に活用期待
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by unkotamezou | 2010-02-19 09:29 | 自然 科學 技術
「玉手箱持って宇宙へ」山崎直子宇宙飛行士

 来年三月打ち上げの米スペースシャトル「ディスカバリー」に搭乗し、国際宇宙ステーションに向かう山崎直子さん(三十九)が二十八日、東京丸の内の宇宙航空研究開発機構で記者会見し、「シャトルの集大成的ミッション。次にバトンをタッチできるよう頑張りたい」と抱負を語った。

 選抜から十一年近くたっての初飛行に、山崎さんは「長かったようで、思い起こすとあっという間」と感慨深げ。「日々の訓練もあり、出産もあり、家庭環境が変わった中でここまで来られたことに感謝している」と述べた。

 山崎さんが飛行する来年三月は、野口聡一さん(四十四)も国際宇宙ステーションに長期滞在しているさなか。山崎さんは「同時に二人滞在できるので、日本のプレゼンスを発揮できるよう相談している」と話し、何をするかは秘密としつつ「玉手箱にたくさん詰めて、宇宙に行きたい」と笑顔を見せた。

平成二十一年十二月二十八日 午後六時五十六分

「玉手箱持って宇宙へ」山崎さん 一時帰国で会見 来年三月シャトルで初飛行
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by unkotamezou | 2009-12-28 18:56 | 自然 科學 技術
クマムシの遺伝情報解読 固有遺伝子多数 乾燥耐性解明へ 東大など

 乾燥や高温、強い放射線などの極限環境に耐えられる微小な動物「クマムシ」の全遺伝情報を、東京大と慶応大、国立遺伝学研究所、情報学研究所の研究チームが世界で初めて解読した。乾燥して生命活動が停止した「乾眠」状態が数年以上続いても、水分さえあれば復活するメカニズムの解明が期待される。研究成果は、横浜市で開催中の日本分子生物学会で十日発表された。

 国枝武和東大助教によると、乾燥耐性を担う遺伝子を突き止め、その働きを化合物で代替すれば、細胞を薬物処理して乾燥保存できる可能性がある。身体の多様な細胞に変わるヒトの万能細胞「人工多能性幹細胞」などを再生医療に応用する際、長期凍結保存するコストがネックとなるが、乾燥保存技術を開発できれば、実用化が進むという。

 解読対象は、堀川大樹米航空宇宙局研究員が、札幌市内の路上の乾燥したコケから採取した「ヨコヅナクマムシ」(体長零・三ミリ)。クマムシはこれまで飼育が難しかったが、ヨコヅナクマムシは、寒天培地の上でクロレラを餌として与え、交尾なしの単為生殖で産卵させ、増やすことができた。約二万五千匹からDNAを抽出して分析した結果、ゲノムのサイズは約六千万塩基対、遺伝子は約一万五千個と推定。このうち約一万二千個が、ほかの動物にはない固有の遺伝子だった。

平成二十一年十二月十日 午後二時三十七分

クマムシのゲノム解読=固有遺伝子多数、乾燥耐性解明へ-東大など
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by unkotamezou | 2009-12-10 14:37 | 自然 科學 技術
無人探査機火星に着陸 平成三十年打ち上げ

 火星に無人探査機を軟着陸させる日本で初めての計画が、宇宙航空研究開発機構や東大の研究者らの間で浮上した。平成30年の打ち上げを目指す構想で、環境変化の過程を探る。火星は月に続く有人活動の候補地として欧米などが探査競争を展開しているが、日本は火星を周回する探査機「のぞみ」を失敗し、後塵を拝している。関係者は「今度こそ」と意気込んでいる。

 計画はミーロスと名付けられ、既に100人以上の研究者が参加。平成25年ごろに宇宙航空研究開発機構の正式なプロジェクトとして開発着手を目指す。火星の大気のほとんどを二酸化炭素が占める理由や、火星誕生から数億年後に大気圧が下がり始め、現在は地球の1%以下まで減った原因などを探る。

 火星は昨年、米国の探査機「フェニックス」が水の存在を確認、欧州も平成15年に探査機「マーズ・エクスプレス」を打ち上げた。ロシアも近い将来、衛星「フォボス」で軟着陸して土壌を地球へ持ち帰る計画で、各国の探査ラッシュが続いている。一方、日本は平成10年に周回探査機「のぞみ」を打ち上げたが機器の故障で軌道投入に失敗、計画が途絶えていた。

 ミーロス計画では、高度が異なる2基の衛星で大気の流れや組成などを高精度に観測する。探査機には小型車やレーザー装置、地震計などを搭載。レーザーを地表に照射し、蒸発した気体の元素を調べたり、小型車で土壌を分析することなどを検討している。土壌分析で生命の痕跡にたどり着く可能性もあるという。

 佐藤毅彦宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究本部教授(惑星大気)は「火星の大気や土壌を研究すれば、気象学や地質学の発展に大きく貢献できる。ぜひとも成功させたい」と話す。

21/05/04 01:30

無人探査機火星に着陸 平成30年打ち上げ JAXAなど構想
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by unkotamezou | 2009-05-04 01:30 | 自然 科學 技術
「宇宙航空研究開発機構」を内閣府に移管

 政府は22日、宇宙航空分野の研究・開発を行う文部科学省所管の独立行政法人「宇宙航空研究開発機構(JAXA)」を内閣府に移管する方針を固めた。かつて宇宙開発は学術目的に制限されてきたが、宇宙基本法が平成20年8月に施行され、安全保障や産業振興面での宇宙の開発・利用に大きく道が広がったことを受け、文科省の所管では限界があると判断した。産業界の積極的な参加を促し、ロケットや人工衛星の開発や商業利用に弾みがつくことが期待される。

 内閣府への移管は5月末に策定する5カ年の宇宙基本計画に盛り込み、22年度からの実施を目指す。

 河村建夫官房長官は22日、都内で講演し、「産業振興や安全保障などあらゆる面で宇宙開発の機能を強化するには文科省だけでは対応できない。国が責任を持ってやるには内閣府とJAXAが一体でやった方がよい」と述べ、移管により宇宙開発が飛躍的に進むとの見通しを示した。

 JAXAは宇宙航空研究開発機構法で、目的を「基盤的研究」に限定されていることから、政府・与党内では「商業化の前提となるコスト削減や信頼性向上への意識に欠ける」などの批判があった。このため、政府・与党は宇宙基本法の施行を受け、付則3条の「施行後1年をめどにJAXAその他の機関を見直す」との規定に基づき、組織形態の見直しを進めてきた。

 政府の有識者会議「宇宙開発利用体制検討ワーキンググループ」(主査・田中明彦東京大教授)は今月3日の中間報告で、宇宙開発・利用に関する内閣府の企画立案機能の強化を提言していた。

 内閣府への移管により、文科、経済産業など各省庁がバラバラに行ってきた宇宙関連政策を統合し、大規模かつ迅速な宇宙開発が可能となる。産業界の意見も反映しやすく、積極的な参入を促すこともできる。

 ただ、JAXAの予算は、21年度の宇宙関連予算3349億円のうち約6割(1918億円)を占めており、巨額な予算と権限を失うことになる文科省の抵抗も予想される。

21/04/22 20:25

「JAXA」内閣府に移管 宇宙開発 商業利用を加速
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by unkotamezou | 2009-04-22 20:25 | 自然 科學 技術
月の最高峰は一万七百五十米「かぐや」で世界初の全球地形図

 宇宙航空研究開発機構の月探査衛星「かぐや」の観測データをもとに、国立天文台の荒木博志助教らが月の全球にわたる地形図を世界で初めて作製した。

 最も標高が高い地点は月裏側の巨大クレーターのふちにある山で、従来の観測よりも約3キロメートル高い10・75キロであることがわかった。最も低い地点は深さ9・06キロだった。13日付の米科学誌サイエンスに発表する。

 研究チームは、かぐやから発射したレーザーが月面で反射して戻るまでの時間をもとに高度を分析。平均5~6キロ・メートル間隔で、全球の約677万地点を観測したデータをもとに地形図を作った。従来の地形図は観測が27万地点に限られ、極地域のデータが欠けるなど不完全だった。

 これらのデータから、月が誕生してから現在の地形に至るまでの過程を検証することが可能になる。

 地形図からは日当たりの状況などもわかり、太陽光発電に適する月面基地の候補地探索などに貢献するという。

平成21年2月13日4時0分 読売新聞

月の最高峰は1万750米「かぐや」で世界初の全球地形図
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by unkotamezou | 2009-02-13 04:00 | 自然 科學 技術
南部理論「対称性の自発的破れ」 物理学の歴史変えた

■物質が重さを持つ仕組み明らかに

 物質にはなぜ、重さがあるのか。この根源的な謎の解明に貢献し、今年のノーベル物理学賞に輝いた南部陽一郎・米シカゴ大名誉教授(87)。半世紀近く前に「対称性の自発的破れ」という理論を提唱し、物質を構成する素粒子が宇宙の進化過程で質量を獲得した仕組みを明らかにした。物理学の歴史を変えた南部理論のあらましを紹介する。(長内洋介)

 南部理論のキーワードは「対称性」だ。自然界は対称性に満ちている。人間の顔や体は左右対称だし、鏡に映った物は実物と対称に見える。皿の上に卵を立てて置いた場合、皿を回して方向を変えても、卵は同じ形に見え、対称性が保たれている。

 しかし、立った状態では不安定なので、そのうち倒れて対称性を失う。このように物体の法則や性質が自然に変わることを「対称性の自発的破れ」という。

 南部さんは、同じような現象が極微の素粒子の世界でも起き、それが物質に重さ(質量)があることの理由だと気付いた。昭和36年に論文を発表したが、当初は関心を持たれなかった。多くの学者は「物質に重さがあるのは当たり前」と思い込んでいたからだ。

 しかし昭和40年代に入ると、物質は宇宙誕生直後、質量がゼロだったことが理論的に判明し、「質量はなぜ生まれたのか」は、重大問題に浮上。そこで世界は南部理論の意義にようやく気付き、並はずれた先見性と洞察力に喝采を送った。

■回転する粒子

 素粒子とは、物質を構成する最小単位の「粒」のこと。物質を「おにぎり」に例えると、素粒子は1つ1つの米粒だ。この小さな粒子は、地球の自転のように回転する性質がある。回転方向は粒子の種類によって左右が決まっている。

 右回転している粒子を、野球の「ジャイロボール」のように投げた場合を考えてみよう。質量を持つ粒子は、質量ゼロの光子よりも重いのでスピードが遅い。このため粒子を投げた後、光の速さで先回りすると、粒子は逆向きの左回転に見えるはずだ。

 これは本来、右回転だった粒子が左回転の粒子に変身し、左右を区別できない状態になり、対称性が失われたことを意味する。言い換えれば「粒子は対称性が失われると質量を持つ」ということだ。

■真空に潜む謎

 では、どうすれば粒子の対称性は崩れるのか。南部さんが考えたのは、「粒子と反粒子のペアが真空中に潜んでいる」という型破りなアイデアだった。

 反粒子とは、普通の粒子と電気的な性質が反対の粒子のこと。粒子と反粒子が衝突すると、どちらも消えてしまう不思議な現象が起きる。これを「対消滅」という。

 南部さんは空っぽのように見える真空中に、「左回転の粒子」と「右回転の反粒子」がペアで隠れていると考えた。ここに右回転の粒子がぶつかると、対消滅によって左回転の粒子だけが生き残る。結果的に粒子は右回転から左回転に変身し、対称性が失われる。つまり、この粒子は質量を持つことになる。

■標準理論の土台

 宇宙がビッグバンの高温状態で生まれた直後は、素粒子のクォークは質量を持たず、真空中を光速で飛び回っていた。その後、宇宙が冷えると真空の性質が変化し、南部理論に基づくクォークと反クォークのペアや、ヒッグス粒子という新顔の素粒子が真空を埋め尽くした。

 クォークは、この奇妙なペアやヒッグス粒子にぶつかって動きにくくなり、重さ(質量)を持つようになったのだ。質量への影響はヒッグス粒子が全体の2%で、残りの98%は奇妙なペアが原因。体重100キロの人なら、98キロは南部理論で説明できるわけだ。

 南部さんは畑違いの超電導理論から、奇妙なペアの着想を得た。それを素粒子論に大胆に導入し、真空が単なる空っぽではないことを見抜いた。南部理論は素粒子物理のバイブルとして標準理論の土台となり、未発見のヒッグス粒子探しや宇宙論など、現在も多くの先端研究を支えている。

 高エネルギー加速器研究機構の森田洋平准教授は「南部さんは物理のルールブックを作った人。今の物理学者は、その手のひらの上で仕事をしているようなものだ」と偉業をたたえた。

20/11/04 11:58

南部理論「対称性の自発的破れ」 物理学の歴史変えた
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by unkotamezou | 2008-11-04 11:58 | 自然 科學 技術
「宇宙用紙飛行機」九機が完成

 宇宙から地球に向けて飛ばす「宇宙用紙飛行機」計9機が、広島県福山市の精密部品メーカー「キャステム」で完成、7日、スペースシャトルの打ち上げ基地がある米・ヒューストンに向けて発送された。米航空宇宙局(NASA)の許可が得られれば、来年2月にスペースシャトルへ搭乗予定の宇宙飛行士、若田光一さんに国際宇宙ステーションから地球に投げてもらう。

 同社と東京大、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の共同研究。宇宙用紙飛行機(長さ38センチ、幅22センチ、重さ29グラム)は、繊維の強いサトウキビのA2判の紙(厚さ0・2ミリ)で製作し、特殊な耐熱・耐水加工を施した。

 地球のどこに落ちても発見できるように、機体には「この紙飛行機は宇宙から帰還しました。拾われた方は、JAXAまでお知らせ下さい」などと日本語など、10カ国語で書かれている。

 今年1月に東京大で行われた実験で、大気圏突入時の熱などに耐えられることは実証済みで、地上から約300キロの位置にある国際宇宙ステーションから、この紙飛行機を投げた場合、2日ほどで地上に到達するという。

 「日本折り紙ヒコーキ協会」の会長も務める同社の戸田拓夫社長(52)は「紙飛行機は、日本独自の文化。この計画が実現すれば、日本の技術の独自性というものを、世界に広くアピールできるのでは」と話している。

20.10.8 03:07

宇宙発、“地球行き”紙飛行機 広島・福山のメーカーが米国へ発送
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by unkotamezou | 2008-10-08 03:07 | 自然 科學 技術
ノーベル物理学賞 小林誠氏、益川敏英氏、南部陽一郎氏

■アインシュタインに魅せられて 小林誠氏(64)

 名古屋市で内科医の長男として生まれた。「遊んでばかりいる、ごく普通の子供」だった。勉強は国語や漢字の書き取りが苦手。「覚えるのが嫌だったから、語学系はだめ」。部活動は中学、高校と硬式テニス部に所属した。

 小さいころから理数系は得意だったが、物理学に興味を抱いたのは高校生。アインシュタインが相対性理論について書いた一般書「物理学はいかに創られたか」(岩波書店)を読み、「パラドックスを解く面白さにひかれた」という。

 当時は日本の素粒子論の黎明(れいめい)期。「坂田モデル」で知られる名古屋大の坂田昌一博士の研究業績が新聞で報じられ、刺激を受けた。「原理的なもの、シンプルで一番基本的なことをやってみたい」。名古屋大に進学後、迷うことなく坂田研究室へ。そこで当時助手だった益川敏英氏と運命的な出会いを果たす。

 素粒子論の魅力は「法則があって、その帰結を求めるのではなく、法則そのものを見つけること」だという。「自分が想像したことを実験でチェックし、矛盾の有無を確かめ、パズルを解いていくやりとりが面白い。想像力の限界を試されている感じ」と話す。理論家らしく物静かに言葉を選んで話す。研究以外の話になると、一段と口数は少なくなる。音楽や映画にはまったく興味がなく、趣味も「なし」。茨城県つくば市で、妻の恵美子さん(55)と高校1年の長女の3人暮らす。

 「ぼーっとしながら(思考を)反芻(はんすう)しているときに思いつく」。新たな理論の糸口は乗り物に乗っているときに見つけるという。

■上下関係嫌う気さくな「理論屋」益川敏英氏(68)

 「理論屋」。益川敏英さんは、こう自称する一方で「先生」と呼ばれるのを嫌う。「たとえ同じ研究室でも上下関係は好きじゃない」。気さくな人柄で研究者仲間や後輩からの人望も厚い。

 名古屋市内の砂糖問屋の長男として生まれた。物理学者としての素地は小学生のころ、電気技師の経験のある父、一郎さん(故人)にはぐくまれた。

 「銭湯に入った帰り道、夜空を見ながら月食はなぜ起きるのかとか、電気モーターの仕組みなんかを教えてくれるんです。おかげで理科がすごく好きになりましたね」

 中学、高校時代の数学や物理の成績はずば抜けていた。素粒子論との出合いは高校1年の時。名古屋大教授だった坂田昌一博士が発表した素粒子理論を伝える新聞記事を読んだのがきっかけだった。

 「身近な場所で世界的な科学が生まれていることに感動した。名古屋大に入ろうと思ったのもこの時です」

 入学後、友人や先輩をつかまえては大声で議論を挑み、「理論屋」の本領を発揮。同級生だった東京電機大の野村博康教授は「こっちが正しくても言い負かされてしまう。愛情を込めて『いちゃもんの益川』と名付けました」と語っていた。

 60年安保闘争が盛んだった時代で、学生運動のデモにも参加した。そんな時でも学生服のポケットにはいつも物理の本が。

 数学と物理のセンスが認められて念願の坂田研究室の一員に。当時、助教授だった大貫義郎名古屋大名誉教授は「独創的な発想をする若者が入ってきたと感心した」と振り返った。

 平成9年、講演中に脳内出血で倒れ、入院生活を余儀なくされた。退院後はできるだけ歩くよう気遣うが、後遺症で「メモなしでは記憶がぽっかりと抜けるときがある」と豪快に笑った。

■「物理学の醍醐味は謎解きの面白さ」南部陽一郎氏(87)

 「物理学の醍醐味は、クロスワード・パズルのような謎解きの面白さ」。米シカゴ大名誉教授の南部陽一郎氏は昨年6月、日本に一時帰国した際に取材に応じ、物理学の奥深さをこう表現した。

 素粒子論の世界的権威。小学校入学前から科学の本を与えられ、小学校時代には鉱石ラジオを作って遊ぶように。東大理学部を卒業後、29歳で大阪市立大教授に就任。昭和27年から米国で研究生活を続け、物質の質量の起源を説明する「対称性の自発的破れ」や量子色力学、ひも理論など数々の独創的なアイデアを提唱。素粒子の標準理論の構築に大きく貢献した。独創的な研究は、「10年先を知りたいなら、南部の論文を読め」と高く評された。

 南部教授が所属するシカゴ大学のエンリコ・フェルミ研究所の同僚、エドワード・ブルチャー教授(47)は電話取材に「素晴らしい。教授は私よりずいぶん年上だが、名誉教授となってからも毎日のように研究室に来ていた。輝かしい業績を残しており、研究は受賞に値する」と祝福した。

 論語の「学びて思わざれば(すなわ)則ち罔(くら)し、思いて学ばざれば則ち殆(あや)うし」が信条。自分で考えることと、他人から教わることはともにないがしろにしてはならない、という意味だ。「研究は汗と不満と甘い夢でなり立っている」。自身はかつてこう話した。エジソンに憧れた科学少年の研究は、大きく結実した。ノーベル賞についても、20年近く前から候補として名前が挙がり続けていた。受賞の知らせにも「毎年のことなので期待してなかった」と余裕の表情だった。

20-10-08 00:54

ノーベル物理学賞 小林誠氏、益川敏英氏、南部陽一郎氏
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by unkotamezou | 2008-10-08 00:54 | 自然 科學 技術