ブログトップ
日本書紀の「水ばかり」か、高松塚石室で柱の穴九か所

 奈良県明日香村、高松塚古墳(8世紀初め)の石室床面の周囲で、床石の上面を平らに加工するため、〈水準器〉用に使われたとみられる柱の穴が9か所で出土し、文化庁が6日、発表した。33年前に見つかった1か所を加え計10か所となり、水を張った容器で水平を調べ、両側の柱に糸を張って水平を確認しながら、作業したらしい。日本書紀に記された「水ばかり」にあたるとみられる。水と糸を使って水平を測量する技術が確立していたことを示す最古の例で、同庁は「古代の技術水準の高さを知る貴重な成果」としている。

 柱穴はいずれも直径約8センチ。床石の東西両側でほぼ対称に配置された4対が見つかった。石室北側にも一つあり、1974年の調査で見つかった南側の柱穴と結ぶと、石室中央を縦断する。

 文化庁によると、作業は〈1〉床石の両側に柱を立て、表面に凹凸がある床石の上に水槽を置く〈2〉水面に定規を立て、両側の柱に糸をくくりつける〈3〉糸の水平ラインを基準に床が水平になるように定規で確認しながら加工する――という手順で行われたとみられる。床石の接地面や、天井石を載せる側石についても、同様の技法で水平に加工した可能性が高い。

 日本書紀の671年の記述には、同古墳の極彩色壁画を描いたとの説もある渡来系の画師、黄文本実(きぶみのほんじつ)が「水ばかり」を献上したとある。水槽を水準器に利用する例は、14世紀初め(鎌倉末期)の「春日(かすが)権現験記絵(ごんげんげんきえ)」の絵図に描かれているが、今回の発見は約600年さかのぼる。

 宮本長二郎・別府大客員教授(日本建築史)の話「水平を保つためとみられる水槽は弥生時代の遺跡からも見つかっているが、糸を張ったことを示すような例は、今回が初めてだ。重い石材を正確に組み上げるため、ていねいな技術が必要だったのだろう」

■ 水準器

 地面や床などが水平かどうかを確かめる器具。様々な種類があるが、今は、ガラス製容器に気泡を残してアルコールなどの液体を満たし、気泡が器具の中央に来れば水平と確認できるタイプのものが一般的。

19年7月7日 読売新聞

高松塚古墳、〈水準器〉用?柱の穴9か所が出土
[PR]
by unkotamezou | 2007-07-07 12:19 | 歴史 傳統 文化