ブログトップ
産業スパイ摘発強化へ法改正 情報入手だけで罰則

 経済産業省は4日、企業の技術データを不正に入手する産業スパイなどの取り締まりを強化するため、不正競争防止法の改正を検討することを決めた。現行法は機密情報を第三者に渡したケースなどにしか罰則が適用できず、事実上“機能不全”に陥っているためだ。第三者への提示がなくても処罰の対象とするほか、被害企業からの訴えがなくても適用できるようにする。6月中に産業構造審議会の不正競争防止委員会で検討を始め、来年度通常国会での改正を視野に入れる。

 不正競争防止法では、企業が持つ重要な技術情報や顧客データを不正に利用するなどした場合に刑事罰が適用される。だが、社員が会社の規則に違反して第三者にデータを示すなどしなければ、実際には処罰対象にならない。

 経産省が法改正を含めた検討に入るのはこのためだ。具体的には「管理の任務に背いて使うか、第三者に示した場合」のみ違反となる従業員の情報取得について、第三者への提示がなくても違反とすることを検討する。

 ただ、業務上必要に迫られて情報を持ち帰った場合も違反になり兼ねず、柔軟な業務の遂行に支障をきたす恐れもあるため、違反対象となる情報を大幅に絞り込む見込み。

 また、技術流出による被害が一企業にとどまらないケースが多いことから、被害者の告訴を必要とする現行法の要件を外すことも検討する。

 きっかけの一つは、今年3月に摘発されたデンソー事件だ。大手自動車部品メーカー、デンソー社員の中国人エンジニアが、産業ロボットの図面など13万件以上のデータをパソコンにダウンロードして自宅に持ち帰り、横領容疑で逮捕された。

 この事件では不正競争防止法でも立件が検討されたが、中国人エンジニアは自宅のパソコンを壊しており、データが第三者に渡されたかどうかが不明だったため、同法違反での起訴が見送られた経緯がある。

 しかし、経産省ではデンソー事件のようなケースは「氷山の一角」(北畑隆生事務次官)とみている。昨年秋、製造業関係企業625社を対象に調査し、357社から回答を得たアンケートでは、全体の36%の企業が技術流出について「あった」か「あったと思われる」と回答した。

 流出パターンについても「図面データなどによる流出」とした企業が半数に上り、流出した技術の32%は「中期的な技術戦略にも影響を与えうる重要基盤技術」だった。

 産業スパイによる情報流出をめぐっては、国の許可を得ずに特定の品目を輸出した場合などに刑罰を科す外為法違反や、刑法の窃盗や横領、背任でも罰することができる。ただ、第三者への提示などが違反要件となるため、立件が難しいのが実情だ。

【用語解説】不正競争防止法

 企業が管理する機密情報の流出を規制する法律。従業員が正当に取得した情報であっても、「管理の任務に背いて」その情報を使うか、第三者に示せば罰せられる。第三者がコンピューターへの不正アクセスなどにより情報を取得した場合は、取得行為だけで処罰対象となる。罰則は10年以下の懲役または1000万円以下の罰金だが、起訴事例はまだない。

19/05/05 20:24

産業スパイ摘発強化へ 情報入手だけで罰則 経産省、法改正へ
[PR]
by unkotamezou | 2007-05-05 20:24 | 政治 行政 立法