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貫き通した正義感…重体警官に回復願う声 東武東上線事故
貫き通した正義感…重体警官に回復願う声 東武東上線事故

 危険と背中合わせの職業とはいえ、あまりにも心が痛む事故だ。東京都板橋区の東武東上線ときわ台駅で、自殺志願の女性(39)を助けようとして、電車にはねられた警視庁板橋署巡査部長の宮本邦彦さん(53)。頭蓋(ずがい)骨骨折の重体で、予断を許さない状況が続いている。女性を最後までかばった強い正義感と優しい笑顔が印象的な「街のおまわりさん」の一日も早い回復を願い、勤務先の交番には7日、住民から、果物や千羽鶴などの見舞品が次々と届けられた。

 「気さくに相談にのってくれたおまわりさん。一日も早く良くなってほしい」。7日午後、宮本さんが勤務する常盤台交番を訪れた近所の主婦は祈るような気持ちで交番に花束を置いた。

 交番の警察官は、住民とのきずなを大切にし、パトロールなどにあたる。「(宮本さんは)街のことを一生懸命に思っている警察官」。近所の商店主はこう話すが、たくさんの見舞品がそれを物語っていた。

 交番の目の前にある現場の踏切は、遮断機がすぐ下りてしまう「開かずの踏切」。無理な横断もある危険な場所だった。

 宮本さんは、事故が起きないよう人一倍気を使っていた。夜遅い時間まで踏切の見える位置に立ち、高齢者が渡る際には笑顔で寄り添った。踏切で一時停止しない車を追いかけることもあった。

 普段は、諭すように注意していたが、事故当日の6日は、ひとりの女性を守ろうと必死だった。

 女性 「私は死んだっていい。(邪魔をするなら)弁護士を呼ぶ」

 宮本さん 「自分が悪者になってもいいから入るな」

 両手を広げ、女性の前に立ちはだかった。が、女性は制止を振り切り、遮断機があがったスキに線路内へ。宮本さんはあきらめなかった。電車にはねられる前、ホーム下の避難スペースに女性を押し込もうとした。「最後まで女性だけを見て、微動だにしなかった。電車から逃げようとせず、正義感の強い人と思った」(目撃した会社員)。女性は重傷を負ったものの、一命はとりとめた。

 交番は3人態勢だったが、2人が事件処理で交番を留守にし、1人で説得するしかなかった。事故が起きた午後7時半ごろは帰宅ラッシュが終わり、ホームからは駅員の姿が消えた。

 JR新大久保駅で転落した男性を救おうと韓国人留学生らが電車にはねられた死亡事故(平成13年1月)を機に設置された、半径1キロ以内の電車に異常を知らせる通報装置がホームにはあったが駅員が不在の上、突然の出来事にホームの乗客もボタンを押せなかった。踏切内に設置された列車に危険を知らせるセンサーも車などの障害物以外には無力だった。

 こうした“不運”も重なり、惨事となった。

(2007/02/08 02:25)
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by unkotamezou | 2007-02-08 02:25 | 事故 災害