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南極観測五十年 あの感動を取り戻したい
南極観測50年 あの感動を取り戻したい

 団塊の世代は、熱い記憶として思いだすだろう。砕氷船「宗谷」による第1次南極観測隊の奮闘である。昭和31年11月8日の東京・晴海埠頭(ふとう)の出港から50年を迎えた。

 敗戦国の日本に基地建設が認められた場所は、南極大陸で最も接近の難しい場所だった。小さな宗谷は厚い氷に行く手を阻まれながら苦難の前進を続けた。翌年1月29日、日本隊はついにオングル島に上陸した。日章旗を掲げ「昭和基地」と命名した。

 大人から小学生までが連日、新聞やラジオのニュースで、宗谷や観測隊の動きに一喜一憂したものだ。

 当時は科学の進歩と人の勇気の素晴らしさが信じられていた。この真摯(しんし)で純粋な輝きを日本人の心にもう一度取り戻したいものである。

 南極で日本の研究者は、半世紀の間に各種の成果を上げてきた。地球を有害な紫外線から守るオゾン層に穴が開くオゾンホールを見つけた功績もそのひとつだ。

 南極大陸では大量の隕石(いんせき)が発見されている。月や火星起源の隕石もあって惑星科学に貢献している。南極で特定の場所に隕石が集まるメカニズムに気づいたのも日本人だ。オーロラ観測と地磁気の研究も見逃せない。今年は南極氷床を3000メートルまで掘り進み、100万年前の氷も入手した。

 しかし、50年を機会に観測のあり方を考えるべきではないか。時代とともに南極も大きく変わった。世界中から毎年約2万人の観光客が訪れ、自然への影響が心配されるほどである。

 南極への犬の同伴も、非在来生物種の禁止によってできなくなっている。雪原を走ったタロやジロたちの犬ぞり隊も過去の思い出となった。

 近年では野外活動が苦手な隊員も交じるため、プロの冒険家をフィールドアシスタントとして同伴せざるを得なくなっているという。

 南極は温暖化現象をはじめ、地球環境問題を観測するのに最適の場所である。地球上の淡水の90%が存在し、極限環境に適応した生物も暮らしている。南極での観測を継続する必要性は依然として高い。

 南極は世界で唯一、国境のない大陸である。その意味でも、賢明な観測活動のあり方を、次の50年を視野に入れながら考えたい。
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by unkotamezou | 2006-11-12 05:00 | 自然 科學 技術