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漁船銃撃事件 外交の巻き返しを求める
漁船銃撃事件 外交の巻き返しを求める

 北方領土・歯舞諸島の貝殻島付近の海域でロシア国境警備艇に拿捕(だほ)・銃撃された根室のカニかご漁船「第31吉進丸」の坂下登船長に対し、国後島の南クリル(千島)地区裁判所が初公判で有罪判決を下した。同船長が「領海侵犯」と「密漁」の罪を認めたとして罰金と水産資源損害補償合わせて約50万ルーブル(約220万円)の支払いと船の没収を命じる内容だ。

 事件はわが国固有の領土、百歩譲っても日露間で係争中の海域で起き、乗組員の盛田光広さんが銃撃で死亡している。そもそも状況からみて、坂下船長がロシアの法律にのっとってロシアで裁かれるいわれはなかった。

 ロシア側が一方的に強行した起訴、裁判自体が理不尽なうえ、事件直後、麻生太郎外相が要求した「関係者の処罰」は不問に付された。「日本側が全面的に黒」の判決で、とても公正な裁判とは言い難い。日本からの弁護人派遣も認められなかった。

 これを阻止できず、国際的に誤ったシグナルを発信してしまった日本の外交当局の責任は重大だ。

 長勢甚遠官房副長官が「ロシア側の(裁判)手続きは受け入れられない」「船長と船体の速やかな解放を」と訴えたのは最低限の要求だ。銃撃した警備兵らの処罰、裁判で封印された事件の真相解明を重ねて要求し、早急に外交的巻き返しを図るべきである。

 ロシア検察当局は銃撃について「吉進丸は停戦命令を無視して警備艇に体当たりを試みたため威嚇射撃した」と主張している。これに対し、事件後解放された乗組員の言い分は「左後方から警備艇が現れ、数十秒後に撃たれた」と全く食い違っている。

 坂下船長に起訴事実を全面的に認めさせるのと引き換えに、最終陳述で「腰痛悪化」を訴えた同船長の早期帰国の要望を聞き入れる裏取引はなかったのか。

 坂下船長は法廷で「密漁は後悔し、深く反省している」と述べたという。しかし、国境線も画定していない海域で突然の銃弾の犠牲となった盛田さんに対し、プーチン政権はいまなお、謝罪も反省の意も表明してはいない。

 日本外交がここで引き下がっては事件の再発を招く。坂下船長の帰国による幕引きは絶対に避けるべきだ。
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by unkotamezou | 2006-09-22 05:00 | 國防 軍事