ブログトップ
皇室典範有識者会議
皇室典範有識者会議 女性天皇容認の方向 新たな宮家創設など課題

 「皇室典範に関する有識者会議」(座長、吉川弘之元東大総長)の議論は今後、女性天皇を認める方向で進みそうだ。「皇位継承を安定的に維持する」方策を考えるのが会議の大きなねらいであるためだ。わが国の歴史と象徴天皇制の根幹にかかわる問題だけに、有識者会議には幅広い視点や、広く専門家や国民の声に耳を傾けたうえでの慎重な論議が求められる。これから浮上しそうな主な論点を整理した。

《「女系」も論点に》

 平成十三年十二月に皇太子ご夫妻に第一子の愛子さまが誕生し、皇室には昭和四十年生まれの秋篠宮さまに続く男子皇族がいないことから、国民の間には女性天皇を認めるべきだとの声が高まっている。歴史上、女性天皇は十代八人いるが、いずれも「中継ぎ的役割」で、即位後に子供を出産し、その子供が即位した例はない。皇位は父方の血統に天皇を持つ「男系」で継承され、「万世一系」は保たれてきた。

 このため、まず女性天皇を一代限りで認めるか、女性天皇の子供も皇位継承者とし、皇室伝統の大転換を意味する「女系」そのものも容認するかが大きな論点となる。仮に女性天皇と女系の双方を認めた場合、男女を問わずに最初に生まれた第一子を優先させるのか、第一子でなくても男子を優先させるかなど新たな課題が浮上する。欧州の君主制十カ国をみると、スウェーデンやベルギーなどは第一子優先、英国、デンマークなどは男子優先を原則としている。

 また女性天皇を認めた場合、女性皇族が結婚後も皇室にとどまることになり、新たな女性宮家を創設する必要性が生じる。さらに、女性天皇や女性宮様の配偶者をどのように確保するか、財政上の観点から宮家創設の範囲をどこまで認めるかなどといった難問も控えている。

《旧宮家から養子?》

 一方、現存する「世界最古の王家」である皇室伝統を重視する立場をとれば、昭和二十二年にGHQ(連合国軍総司令部)の意向などで皇籍離脱した旧十一宮家の男系男子について、本人の意思を尊重したうえで(1)天皇や現宮家への養子(婿養子を含む)を容認する(2)皇族に復帰してもらい、新たに宮家を創設する-なども考えられる。

 十一宮家の中には、戦後、血統が途絶え、外部から入った養子が家名と神や祖先を祭る「祭祀(さいし)」を継いでいる家もある。

 だが、少なくとも四宮家に「二十-三十代の独身の男系男子が計十数人いる」(宮内庁関係者)とされ、皇族の身分への復帰について前向きな人も複数いるという。旧宮家は皇籍離脱して半世紀以上たっているため、自民党内には「急に新たな皇位継承対象者が現れても国民感情的に分かりにくい」「男系男子にこだわっては将来的に安定的な皇位継承者維持は難しい」などの慎重論もある。



 ■有識者会議メンバー 少ない専門家、人選に疑問の声も

 「皇室典範に関する有識者会議」のメンバー十人について、政府は「皇位継承制度などについて高い識見を有する人々の参集を求め、検討を行う」(昨年十二月の首相決裁文)としている。しかし、実際に皇室専門家といえるのは、日本古代史専攻で「平安の朝廷」などの著書がある笹山晴生氏と、皇室の重要事項を審議する皇室会議議員を務め、「皇室法概論」の著書がある園部逸夫氏くらいだ。座長の吉川弘之氏の専門はロボット工学で、メンバーの大半はむしろ門外漢だ。

 メンバーの顔ぶれから、政府・与党内では早くも「女性天皇容認という政府の『結論ありき』の会議ではないのか」(自民党幹部)との見方が強まっている。

 政府の男女共同参画審議会会長を務めた女性学の重鎮、岩男寿美子氏が選ばれたことで「女性天皇容認論をリードするのではないか」(政府関係者)とみられているためだ。

 日本経団連会長の奥田碩氏やギリシャ・ローマ文学が専門の久保正彰氏らについては「人選の根拠がよく分からない」(皇室研究者)との声もある。

 また、内閣官房副長官を八年七カ月も務めて官邸にパイプが太く、関係省庁ににらみが利く古川貞二郎氏は「最終的なまとめ役」とされる。

 半面、宮内庁長官経験者で皇室の実情に詳しい藤森昭一氏のほか、女性天皇に消極的とされる長官経験者の鎌倉節氏や『天皇-その論の変遷と皇室制度』など皇室に関する著書が多い大原康男国学院大教授らの専門家は選に漏れている。

 もともと首相や官房長官の私的諮問機関については「政府の意向を受けた発言力の強いメンバーや、事務当局の説明に引きずられる傾向がある」(諮問機関のメンバー経験者)。さらに、人選そのものにも政府の政治的意図が反映する。



 ■皇室典範に関する有識者会議のメンバー

 吉川弘之  産業技術総合研究所理事長・元東大総長(座長)

 園部逸夫  元最高裁判事(座長代理)

 岩男寿美子 武蔵工大教授・慶応大名誉教授

 緒方貞子  国際協力機構理事長

 奥田碩   日本経団連会長

 久保正彰  東大名誉教授

 佐々木毅  東大総長

 笹山晴生  東大名誉教授

 佐藤幸治  近畿大法科大学院長・京大名誉教授

 古川貞二郎 前内閣官房副長官

  =敬称略

http://www.sankei.co.jp/news/050126/morning/26pol001.htm
[PR]
by unkotamezou | 2005-01-26 21:19 | 皇室