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長島茂雄 プロの洗礼 金田に四連続三振
プロの洗礼 金田に4連続三振

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金田正一(右)から4連続三振に打ち取られた長嶋(左)のデビュー戦(1958年4月5日、後楽園球場)

 プロに入って初めてのシーズン前のオープン戦では打ちまくりましたから、4月からの公式戦を前に、やれる、よしやってやると自信満々でした。

 《1958年(昭和33年)4月5日、巨人は、後楽園で国鉄(現・ヤクルト)との開幕戦を迎えた。巨人・藤田元司、国鉄・金田正一の両エースがマウンドに上がった。長嶋プロデビュー戦の巨人の先発オーダーは懐かしの名選手が並ぶ。

 (左)与那嶺 要
 (遊)広岡 達朗
 (三)長嶋 茂雄
 (一)川上 哲治
 (右)宮本 敏雄
 (中)岩本  尭
 (二)土屋 正孝
 (捕)藤尾  茂
 (投)藤田 元司    》

 開幕戦の前日、後楽園での練習を終えて外野席に回ると、ブルペンへ向かう前の金田さんがフェンスの下から手を伸ばしてきて、「よし、あすはオレの胸を借りに来い」と、私の手を強く握りました。大きな手、それに背が高い。私も179センチあるけれど、金田さんはひとまわり大きいんですよ。だから、必ず打つと、より闘志がわきましたけれどね。

 さあ、開幕戦。一回裏、与那嶺さん、広岡さんが連続三振。柔らかなフォームで左腕から繰り出す速球も速いけれど、カーブの落差がまたすごい。ドロップというやつですね。

 3番の私がボックスに入りました。4万を超える大観衆からはすごい歓声です。

 第1球は肩口のストレートに空振り。2球めは外角から回り込んでくるような大きなカーブに手がでなかった、ひとつはずしてきて、最後は胸元をえぐるストレートに空振り。バットにかすりもしませんでした。

 第2打席、第3打席も空振りでうち取られ、九回裏もフルカウントから空振りの三振でした。ゲームは藤田さんも踏ん張り、0―0で延長に入ったのですが、1―4で負けました。

 私は4打席4三振。ショックでした。実は翌日のダブルヘッダーの第1試合でもリリーフで出てきた金田さんに三振していますから、5連続三振なんですよ、金田さんには。プロにはすごい投手がいるもんだと思い知らされました。

 長嶋はデビュー戦4三振といっても、見逃しの三振ではなくて、全部振ったところがすごい、とかいわれますけどね、振りたくなるんですよ、金田さんのボールは。しめた、打てると思って振りにいくと、びゅっとホップしてくる。すごいボールです。

 でも、このゲームで三振したのは私だけじゃない。与那嶺、広岡、川上、宮本さんも、みんなキリキリ舞い。ショックではあったけれど、プロ生活のしょっぱなに金田さんに力で牛耳られたから、どうしたらあの速球、あの大きなカーブを打てるか、それがその後の練習、勉強につながりました。

 私はあんまり結果をひきずる方じゃないですからね、続く後楽園での大洋(現・横浜)戦(4月10日)で、権藤(正利)からプロ1号ホームランを打ちました。プロで打った444本の1本めです。40年以上たってもあの感触はよみがえってきますね。(敬称略)

2006年6月26日 読売新聞
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by unkotamezou | 2006-06-26 19:14 | 冒險 競技 藝能 娯楽