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量り売り復活 ゴミ削減に効果 無駄なく新鮮 必要なだけ購入
量り売り復活 ゴミ削減に効果 無駄なく新鮮 必要なだけ購入

 食の世界で、昔懐かしい「量り売り」が復活しつつある。味や品質を確認してから、必要な分だけ買えるため、無駄が出ないうえ、容器を繰り返し使えるのでゴミも減らせる。「常に新鮮な食材を使いたい」「高価なものを少量だけ」…そんな多様化する「食」のニーズにも応え、人気を呼んでいる。(榊聡美)

≪まず味見から≫

 先月二十日にオープンした「フォムファス オリナス錦糸町店」(東京都墨田区)。店名の「フォムファス」はドイツ語で「樽(たる)から」、つまり「量り売り」を意味する。

 オリーブオイル、バルサミコ酢、ワイン、ウイスキーなど、百種類以上の“液体の商品”が素焼きのつぼや、木樽、ガラス容器に入って売られ、一〇〇ミリリットルから必要な量だけ買うことができる。

 店内ではさまざまな形の持ち帰り用のボトルも販売されているが、持ち込みもOK。

 人気が高いのは、ラズベリー、カシスなどフルーツのお酢。健康志向の高まりから流行している“飲酢(いんず)”も、酸味がキツかったり、香りが好みでなかったりするケースがある。味見してから好みに合う商品を購入できるのが量り売りの魅力だ。

 オリーブオイルも約十種類が並ぶ。パンにつけながら味を比べていた三十代の主婦は、「それぞれ味や香りに違いがあるんですね。料理に合わせて使い分けられそう」と、少量ずつ種類の異なるものを購入した。

 料理のレシピに合わせて調味料を買ったが、半年たっても使いきれない-。そんな無駄が解消できると好評だ。

≪「少量」を生かす≫

 大正十二年創業の酒店「三島商店」(江東区)は昨年末、泡盛古酒の量り売り専門店として新たに営業を始めた。

 扱うのは三年以上熟成させた古酒(くーす)のみ。「泡盛のブームで古酒を飲みたいという人が増えていますが、一般の流通にのせられるほど量の多いものばかりではありません」と同店スタッフの五島好子さんは説明する。

 少量しかないため、商品化されないまま酒蔵の隅で眠っている古酒を販売するには、量り売りというスタイルがうってつけだった。扱うのは、四-八年ものの古酒四銘柄七種類、価格は二合で二千-四千円ほど。二合という少量から予算に合わせて買えるのは、消費者にとってもありがたい。

≪"わがまま"に対応≫

 一方、大豆、小豆などを木の升で量り、販売する懐かしい光景も復活している。「富澤商店 ルミネ北千住店」(足立区)は、さながら昔の乾物屋さんの風情を醸し出している。

 食物繊維が豊富な豆は、若い女性たちも注目している食材。同店の場合、十勝産の小豆は一〇〇グラム六十三円。一般的な袋詰めの商品より三割程度安い。値段もさることながら、店員に選び方や調理の仕方を教えてもらえるとあって女性客が引きも切らない。

 スーパーやコンビニエンスストアにない良さは、それだけにとどまらない。「量り売りは多様化するニーズに応えられるのが強み」と話すのは、前出の「フォムファス」店舗統括マネージャー、青木恵美さん。

 ワインを白も赤も少しずつ飲みたい、常に新鮮な調味料を使いたい、お菓子作りに使う分だけリキュールがほしい…。既存の規格では収まらない“わがまま”なニーズに対応すべく、量り売りの柔軟性が今、見直されている。

05/09 08:30
by unkotamezou | 2006-05-09 08:30 | 自然 生活 社會 医療