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日本酒輸出、グイッと増量「質」こだわり官民で後押し
日本酒輸出、グイッと増量 「質」こだわり官民で後押し

 焼酎ブームのあおりを受け日本酒の低迷が続く中、「SAKE」としての日本酒の輸出がじわりと回復している。平成17年の日本酒輸出金額は、3年連続で過去最高を更新した。背景には、海外に和食レストランが増え、高級な吟醸酒が人気を集めていることや官民挙げての輸出振興策が実を結んでいることがある。(鈴木正行)

≪国内縮小≫

 国税庁によると、課税対象となる日本酒の出荷量は、昭和五十年度の百七十四万七千キロリットルから平成十六年度には七十五万三千キロリットルまで減少。一方、焼酎は五十年度の十九万五千キロリットルから百五万三千キロリットルと約五倍に増え、日本酒の国内市場は縮小を続けてきた。

 輸出市場では、米国で日本メーカーが相次いで現地生産に乗り出し、中国や韓国の企業が「日本酒」の生産を始めた。紙パックの低価格の「外国産」日本酒に押され、国内の日本酒の輸出量、輸出金額は八年をピークに減少に転じた。

 品質を落として「量」で競争していた業界に危機感を抱いた国税庁は十六年秋、海外向けに日本酒の付加価値を高める「質」向上に力を入れ始めた。十七年五月から日本酒の蔵元を集めて輸出セミナーを始め、昨年はシドニーやシンガポールの大使館などの協力で日本酒の利き酒会を共催。またワインと同様の地域ブランド確立を目指して昨年十二月、「天(てん)狗(ぐ)舞」や「菊姫」などの銘柄で知られる石川県白山(はくさん)市を「白山の清酒」の産地に指定した。清酒の産地指定は初めてで、白山市以外で醸造した日本酒は「白山」を名乗れなくなる。

 国税庁酒税課の初谷武志課長補佐(41)は「海外での日本酒の評価が日本に“逆輸入”され、日本酒が見直されるきっかけになれば」と話す。

≪空輸≫

 日本航空インターナショナル(JAL)は、十六年八月、社内で日本酒の海外進出を支援する企画「JAL SAKEプロジェクト」をスタート。外国語のウェブサイトを立ち上げ、全国百社の蔵元の紹介や日本酒に関する作り方や専門用語を英、仏語訳などで掲載するなどした。

 JALでは、プロジェクトを始めるまで日本酒の空輸のデータがないぐらい「商売」にならなかった。しかし、わずか二年たらずで二十二社の蔵元から依頼され、米国や欧州だけでなく、ロシアやインドなどに空輸するまでになった。

 米国での小売価格は、一本(七百二十ミリリットル)で三十ドルから、高級なもので百ドルを超える。プロジェクト担当のJAL国際営業部の入江啓祐さん(37)は「現地の人による現地のための和食レストランが増えてきた。空輸便は船便より一キロ当たり、約十倍費用がかかるとされているが、蔵元には、海外から和食に合う高級な吟醸酒を求める問い合わせが増えている」と説明する。

 財務省の貿易統計によると、十七年の日本酒の輸出金額は約五十三億円で、三年連続で過去最高を更新。輸出量も九千五百三十七キロリットルで、全盛期だった八年の一万四百二キロリットルに肉薄してきた。

 日本酒の輸出が増えたことについて、米国人日本酒ジャーナリストのジョン・ゴントナーさん(43)は「日本酒の品質管理などの情報や知識が海外に普及し、良い品質の日本酒が売られ始めたからでは」と分析。日本酒の文化を尊重し、海外に伝えようと設立された「日本産清酒輸出機構」(東京)の大森清隆事務局長(33)は「『安かろう、まずかろう』ではなく『高いけどおいしい』から輸出量が伸びている。しかし、今後も楽しい飲み方を提供していかないと、国内と同様、消費が落ちかねない」と話す。
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by unkotamezou | 2006-05-08 05:00 | 歴史 傳統 文化