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油濁損害賠償保障法 北朝鮮へ圧力
改正油濁損保法 ジワリ対北圧力 保険未加入船舶の入港制限

 北朝鮮への制裁論が国民世論と与野党内でくすぶり続ける中、三月一日に施行される改正(船舶)油濁損害賠償保障法への期待が高まっている。拉致被害者の横田めぐみさんの偽「遺骨」問題で政府が依然、有効な手を打てないだけに、輸入規制につながる同法の施行が事実上の「圧力」としてジワリ効果をあげることになるためだ。ただ、制裁策の検討を進めている自民党内からは「拉致問題解決に向けた日本の強い姿勢を示す政治的メッセージにはならない」(外交関係議員)との指摘もあり、政府の対応が鍵を握る構図は変わらない。

◆注目度UP

 改正油濁損害賠償保障法は、船舶の座礁など海洋の油濁汚染での被害者保護を図るのが目的で、タンカー以外の百トン以上の一般船にも船主責任保険への加入を入港条件として義務付けたのが特徴だ。最低保険金額は百トンで約一億六百七十万円。平成十五年に採択された油濁汚染に関する国際基金条約の追加基金議定書に基づき整備された。

 このため、特定船舶入港禁止法が北朝鮮の貨客船「万景峰92」を対象としているのと違い、法の趣旨に照らせば北朝鮮船籍を狙い撃ちにしたものではない。だが、実態として、保険加入率の低い北朝鮮籍の船舶に「ほとんど網をかけることができる」(自民党議員)効果があるのは確かだ。

 実際、平成十五年中に年間三百六十五回以上、日本に入港した計約十二万隻の平均保険加入率が約73%なのに対し、北朝鮮船籍は入港回数計九百七十四回のうち加入が確認できたのはわずか二十四隻。加入率は各国の中で最低の2・5%にとどまっている。

 平成十四年十二月、茨城県日立市の日立港で座礁した北朝鮮籍の貨物船「チルソン」も未加入だったため、船主の北朝鮮側が撤去費用を払わず、茨城県が肩代わりさせられたケースがある。

 同法施行をめぐっては、北側一雄国土交通相が国会答弁で「しっかり施行に合わせ適切に運用したい」と表明。保険未加入の北朝鮮船籍はもちろん、日朝を結ぶ象徴的存在の万景峰92も保険加入手続き中とされ、施行日に間に合わなければ入港できなくなる。

 ただ、同法はあくまで国際条約に基づいて整備された国内法。結果的に北朝鮮船舶を入港制限できても、拉致問題で生存者の帰国を求める政治メッセージは十分に伝わらず、「制裁としての外交カードにはならない」(山本一太自民党参院議員)と過剰な期待を戒める声もある。

◆自民は着々

 「北朝鮮への制裁効果は単独でやってもかなり効果があることが分かった」

 三日に開かれた自民党の対北朝鮮経済制裁シミュレーションチーム。会合後、山本氏は記者団にこう語った。エネルギー、食糧の両面支援で事実上、北朝鮮経済を支えている中国のほか、同盟国の米国、韓国との連携がなくても単独制裁の発動は可能であることを強調したものだ。日朝貿易が百億円単位の規模に上っているのが理由だ。

 財務省によると、日朝貿易額は平成十五年現在で、日本から北朝鮮への輸出が百六億円、北朝鮮からの輸入が二百二億円。特にアサリやウニ、ズワイガニなど北朝鮮からの水産物は平成十五年で九十二億円に上る。

 ただ、取引相手の日本側業者への打撃も予想されるだけに、同チームは今月下旬にも北朝鮮からのアサリ輸入が最大の山口県下関市を訪問し、制裁の影響などについて視察、独自の制裁効果をまとめて発表する。

 自民党はまた、北朝鮮人権法案を今国会中に提出する構えで、人権面での国際包囲網の構築など、あらゆる角度から「圧力」を加える方策だ。

 こうした自民党の積極的な動きと対照的なのが政府の慎重姿勢だ。

 町村信孝外相は週内にも小泉純一郎首相と協議する意向を示していたが、首相の日程が立て込んでいることを理由に、協議は来週後半にずれ込むのは必至だ。

 また、与野党間で制裁議論が高まっているにもかかわらず、唯一、関係省庁が一堂に集まる「北朝鮮による日本人拉致事件に関する政府の専門幹事会」(議長・杉浦正健官房副長官)も昨年末に開かれただけで「休眠状態」(外務省筋)だ。
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by unkotamezou | 2005-02-04 05:00 | 國防 軍事