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皇室典範 首相なぜ改正急ぐ 飛び交う憶測 ポスト小泉候補も慎重論
皇室典範 首相なぜ改正急ぐ 飛び交う憶測 ポスト小泉候補も慎重論

 皇室の歴史上、初めて女系天皇を認める皇室典範改正案をめぐり三日、閣内からも慎重論が噴出した。小泉純一郎首相はひとり、「最後はまとまる」と改正に意欲と自信を示す。ただでさえ、ライブドア問題などの「四点セット」の追及にあい、苦しい立場になりつつある首相が、改正を急ぐのはなぜか-。その理由の一つとして、永田町では、根拠のない「天皇陛下のご意思説」も流布されている。(阿比留瑠比)

≪求心力ほころぶ?≫

 三日の閣議後の記者会見で、二人の「ポスト小泉」候補を含む閣僚から、慎重論は飛び出した。

 「しゃにむにやらなければいけない法案だろうか。男子皇族がまったく生まれないかのごとき前提で話をしている」(麻生太郎外相)

 「きちっと国民の合意が形作られ、そしてすんなり決まっていくことが望ましい」(谷垣禎一財務相)

 杉浦正健法相は「(旧宮家から)養子をいただけば(男系の)血筋がつながる。検討すべき点は多々ある」と、具体的な対案を挙げ、中馬弘毅行革担当相も慎重姿勢を示した。政府・与党内の慎重論が勢いを増していることを示すものだ。閣内では、安倍晋三官房長官や中川昭一農水相も、「内心は間違いなく反対」(自民党筋)とみられる。

 党側も、これまでに久間章生総務会長、細田博之国対委員長、片山虎之助参院幹事長らが、党内の混乱を避けるために改正に慎重な姿勢を表明している。さらに「参院執行部は全員が慎重」(関係者)だという。

 三日は、民主党有志による「皇室典範改正を慎重に考える会」(西岡武夫会長)の設立総会も開かれ、今国会への改正案提出阻止を当面の課題として取り組むことを決めた。また、改正に反対する超党派の「日本会議国会議員懇談会」(会長・平沼赳夫元経産相)の下村博文事務局長は、安倍氏と会談。国会議員の反対署名が、一日の時点からさらに五人増えて、百七十八人(自民党は百三十六人)に達したことを報告した。

 与党の公明党も、「党内は割れている。国会議員も女性天皇と女系天皇の違いなどよく分かっていない」(幹部)としており、改正を急いではいない。

 与党内からは「九月に辞める人の言うことを聞く必要はない」(自民党若手)、「今回は小泉さんの思い通りにはいかない」(別の公明党幹部)との声も漏れる。首相の求心力にほころびが見え始めた、といっては言い過ぎだろうか。

≪自信の根拠は≫

 こうした逆風のなか、「政局の天才」(閣僚経験者)ともいわれる首相が、強硬な姿勢を崩さないのはなぜか。

 「(郵政民営化で対立した)平沼氏が、改正反対派の代表格を務めているため、首相も意地になっている」(自民党幹部)や、「首相は皇室の構造改革を狙っている」(無所属議員)など、さまざまな憶測がなされている。とりわけ“有力な説”とされるのが、「首相は典範改正を天皇陛下のご意思だと思い込んでいるのではないか」というものだ。

 これは、複数の与党関係者が指摘しているのだが、実際、「首相に近い自民党幹部は『陛下のご意思』をほのめかしていた」と証言する改正反対派の議員も少なくない。ただ、「本当に陛下のご意思なのか」と問い詰めると、あいまいな答えに終始し、根拠は一切示さなかったという。

 首相は三日、「皇族の意見を聞かないのか」との記者団の質問に、「直接でなくても、(皇室典範に関する)有識者会議で聞いていると思う」と答え、改正は皇室の意向を踏まえたものだとの認識を示した。

 しかし、天皇陛下のいとこにあたる寛仁さまは、日本会議の機関誌「日本の息吹」の中で「(陛下のご意思説は)絶対にありえないと思う」と断言されている。陛下の叔父にあたる父の三笠宮さまと、母の百合子さまも同様の認識だ、と寛仁さまは明らかにされてもいる。「このほかにも複数の皇族が今回の改正に反対されている」(関係者)といい、改正が本当に皇室の意向を反映したものかどうかは疑問だ。
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by unkotamezou | 2006-02-04 05:00 | 皇室