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柔道の申し子 四十八キロ級十六歳・中村美里
柔道の申し子 48キロ級16歳・中村美里

組み手、投げ技、足技…三拍子そろう

 10代女子の活躍がめざましいスポーツ界。柔道にも新星が現れた。48キロ級で11月の講道館杯、12月の福岡国際女子を立て続けに制した中村美里(16)=東京・渋谷教育渋谷高。高校生離れした鋭い投げ技、巧みな組み手は、関係者を「柔道の申し子」とうならせる。「ママでも金」と五輪3連覇を狙う谷亮子(トヨタ自動車)との直接対決を待ち望む気の早い声も…。

 福岡国際を制した直後は笑みも控えめに「喜びは顔に出ないんです」と中村。今どきの女子高生を思わせる軽いノリには、かなり遠い。高校での愛称は「王者」。中学2年で全日本中学校大会44キロ級とアジアジュニアを制した看板が、身のこなしに風格を添える。

 シニアで初の国際試合となった福岡だが、試合運びはベテラン顔負け。初戦では世界王者のベルモイ(キューバ)を相手に、ひるまず前に出た。「相手が後ろに下がっていく感じ」(中村)と見下ろし、ゴールデンスコアによる延長戦では、中村の圧力に手を焼いたベルモイが技の掛け逃げによる指導で自滅。「成長の速度がすごい。試合の中でも強くなっている感じ」と高校の古矢彰浩監督は舌を巻く。

 東京・八王子市の出身。性格は「男っぽい」。2歳上の兄と地元の少年野球チームで白球を追いかけたこともある。テレビで見た格闘技にあこがれ、友人の父親が勤める警察署の道場を訪ねたのが小学3年。2年後には神奈川県相模原市内の道場に通い始めた。中学になると親元を離れ、同市内の中学校に。「地元の中学に行くか、柔道中心の生活にするか迷ったけど、柔道を選んだ」と道場の寮に入り、柔の道へと踏み出した。

 週に2度通う三井住友海上の柔道部では、体重差も恐れず、アテネ五輪70キロ級金の上野雅恵や52キロ級銀の横沢由貴に乱取りを挑む。道場で気分転換に遊ぶドッジボールでは、軽やかな体さばきを披露。同社の柳沢久監督は「運動神経がずば抜けているし、怖いもの知らず。じっくり力をつけてほしいんだけど」と、長足の進歩を遂げる16歳に苦笑いするしかない。

 相手の動きを巧みに制する組み手は秀逸。左右を問わず投げ技を繰り出せるのも強み。「組み手ができて、左右の投げ技、足技もある。柔道の申し子ですよ」と全日本女子の日蔭暢年監督。三拍子そろう“金の卵”を絶賛する。来年2月に出産を控える谷の復帰は早くても来年暮れ。だが、直接対決に向けて関係者の期待は高まる。日蔭監督は「経験を積めば…」と新鋭の将来性を高く買う。「北京五輪に出て優勝したい」と中村も気合十分。女王に強敵の出現である。(森田景史)
by unkotamezou | 2005-12-22 05:00 | 冒險 競技 藝能 娯楽