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議論不足 課題積み残し
議論不足 課題積み残し

 「皇室典範に関する有識者会議」の報告書は、皇室のあり方の歴史的転換となる女系天皇容認を打ち出し、政府に「皇位継承制度の改正は早期に実施される必要がある」と促した。しかし、有識者会議が論議を尽くしたとはいえない。政府・与党内の見解も積極論から慎重論までさまざまだ。

■ 国会審議は

 「私たちは歴史観や国家観で案を作ったのではない。歴史観も議論すべきだが、それは国会で議論すべき問題だ」

 有識者会議の吉川弘之座長(一般設計学)は、こう指摘する。「われわれは、男系がいいか女系がいいかという哲学的議論はしていない」とも述べ、今回の結論は、価値観をはさまず安定的な皇位継承を模索した結果であることを強調する。

 皇室典範改正案について、小泉純一郎首相は「来年の通常国会に提出する準備を進めている。(国民の)理解は得られると思っている」との姿勢で、政府内には「(与党とは修正協議をせずに)基本的に最終報告を改正案に反映する」(政府筋)との向きもある。同時に「世論や党の反応をみないといけない」(別の政府高官)との意見も根強い。

 無所属の平沼赳夫元経済産業相や民主党の鳩山由紀夫幹事長が女系天皇容認に慎重論を表明している。こうした意見は、与党内に少なくない。所属議員二百三十八人を数え、国会審議の行方にも影響力がある「日本会議国会議員懇談会」は今後、皇室典範改正への反対活動を強める方針だ。

 こうしたことから女系容認に慎重な自民党の保守系議員は「皇室典範改正案は国会に出せないのではないか。党は確実に割れるが、郵政民営化関連法案のときと違って各議員の国家観、皇室観にかかわるだけに党議拘束もかけにくい」とみる。

■ 画餅の恐れも

 「(女性・女系天皇容認後の)新たな問題は、結婚相手にふさわしい方が得られるかどうかだ」

 六月八日、有識者会議の意見聴取に参考人として招かれた所功・京都産業大教授はこう指摘した。女性天皇や女性宮家を認める以上、その配偶者をどう確保するかは避けられない問題だ。しかし、有識者会議は「その問題はわれわれの使命の外」(吉川座長)だとし、検討していない。

 女性天皇や女性宮家の配偶者確保がスムーズにいかなければ、有識者会議が掲げる「安定的な皇位継承」が、絵に描いたもちに終わる可能性も否定できない。男系維持派が主張する旧皇族の皇籍復帰に関しては「いったん皇族の身分を離れた者が再度皇族になったり、もともと皇族でなかった者が皇族になるのは極めて異例」だとして、検討に時間をかけなかった。

 吉川座長はこの点について「(出生率などから)旧皇族が復帰しても二、三代でだめになることがある」と説明する。これに対し、「そもそも民間の出生率が低くなったからといって、皇族もそうなると決めつけるのは非論理的だ」(自民党筋)との批判も出ている。
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by unkotamezou | 2005-11-25 05:00 | 皇室