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バリ島テロ 邦人男性死亡 アルカーイダ的テロ拡散
バリ島テロ 邦人男性死亡 アルカーイダ的テロ拡散

【クタ(インドネシア・バリ島)=岩田智雄】インドネシアの観光地バリ島で発生した同時爆弾テロで、インドネシアの治安当局者は二日、実行犯三人による自爆テロと断定し、東南アジアのテロ組織、ジェマ・イスラミア(JI)が関与したとの見方を強めている。地元警察は同日夜、死者は二十二人で、うち三人が自爆犯だったと発表した。犠牲者には日本人が一人含まれていた。負傷者は百二十人以上に達している。

 地元警察によると、爆発は二地区の三カ所で起きたが、警察は二日、クタ地区のレストランで、リュックを背負った男が店内で自爆する場面のビデオ映像を公表した。客の一人が偶然撮影していた。

 治安当局者は同日、犯行の手口などから、二〇〇二年十月のバリ島のディスコ爆破テロなどに関与したJI幹部が今回もかかわった疑いがあると表明した。

 地元テレビは当初、日本人女性が死亡したと伝えたが、その後、死亡したのは青森県黒石市の大学職員、川崎昭雄さん(51)と確認された。このほか日本人四人が負傷した。

 インドネシアのバリ島の同時爆弾テロ事件は、国際テロ組織アルカーイダとのつながりが指摘されるイスラム過激派組織、ジェマ・イスラミア(JI)の関与が濃厚となっている。ウサマ・ビンラーディン容疑者らアルカーイダ指導部が実質的な活動を封じ込まれつつも、なお七月のロンドン、エジプト、そして今回と続発するテロ。現代の世界が抱える「アルカーイダ的なテロの拡散」という問題の深刻さが浮かび上がる。

 JIは、インドネシアやマレーシア、フィリピン南部一帯でイスラム国家樹立を目指す原理主義組織。一九九〇年代半ばにマレーシアで創設され、東南アジア域内に二千人以上の構成員がいるとみられている。

 アルカーイダとのつながりは、さまざまな点からうかがえる。自爆テロを多用する手口も共通点の一つだ。東南アジアでは、自爆テロという形態は九〇年代半ばまで存在しなかったが、二〇〇一年の米中枢同時テロ以降、ジャカルタのオーストラリア大使館爆破事件(〇四年九月)などめだって増加した。

 JIをアルカーイダと結びつけたとされるのが、軍事部門トップのハンバリ容疑者(インドネシア人、〇三年にタイで逮捕)。八〇年代にアフガニスタンで旧ソ連軍と戦い、ビンラーディン容疑者と知り合ったとされる。アフガン帰りが組織の中核を担った構図も、各地のアルカーイダ系組織と共通する。

 また今回、爆弾製造専門家のアザハリ容疑者(マレーシア人)が主要な役割を演じたのではないかとの疑いが強まっているが、英レディング大で博士号を取得した同容疑者も九〇年代後半にアフガニスタンでアルカーイダの軍事訓練キャンプに参加した経験がある。

 〇二年のバリ島爆破テロの公判では、ビンラーディン容疑者がテロ資金を供与していたとの証言があり、豪大使館爆破事件ではJIに一万豪ドル(約八十六万円)の提供があったとも報じられた。

 ただ、テロとの戦いが進展する中で、現実にはテロ組織同士の国際的な連携による大規模テロの実行は、以前より格段に困難になっている。実際、三年前のバリ島爆破テロと比べると今回は明らかに小規模であり、9・11テロ後の世界的なテロの流れをみても、テロの規模自体は兵站(へいたん)面の限界もあってか、比較的小規模にとどまる傾向を示している。

 しかし、これはテロ対策の成功を必ずしも意味しない。むしろ最近では、「イスラム世界に侵略する異教徒に対する聖戦」を唱えるアルカーイダは、テロリストがお互いに結びつきあうための「思想」として機能するようになった。英日曜紙オブザーバーは「一度起きたテロがきっかけとなって、各地に無数の次世代のテロリストを生み出している」と指摘する。

 外国人が集まるリゾート地が象徴する「豊かさと堕落」への反感と過激思想は容易に結びつき、テロ組織への参加の敷居を押し下げてもいる。イスラム過激派によるテロは、危険な兆候を強めつつあるといえるだろう。

(シンガポール 藤本欣也)
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by unkotamezou | 2005-10-03 05:00 | 國防 軍事