2005年 06月 04日
縄文人 二十年ぶり現代人に 三重の三四造さん
“縄文人”20年ぶり“現代人”に 三重の「三四造」さん
考古学熱から竪穴式住居生活 「経験、後世に」引退 竪穴式住居で寝起きし、木の実や野生動物を食べるなど縄文人さながらの原始生活ぶりが注目を集めていた三重県一志町井関の「縄文人・三四造(みよぞう)」さん(74)が、約二十年に及ぶ古代暮らしから“引退”した。五十五歳で会社を退職して縄文人に、そして再び現代に帰ってきた三四造さん。まれに見る縄文人ライフを後世に伝えようと、自らの経験を記録する「第三の人生」に踏み出した。 三四造さんが生まれ育った井関地区は、古代の土器や、やじりが多数出土する土地。考古学ファンの父と田畑から出土する土器ややじりを研究してきたが、それだけではとどまらず、退職を機についに自給自足の縄文人生活デビュー。 妻や子供の反対を押し切り、田んぼをつぶして退職金で建てた竪穴式住居。近くの川でフナを手づかみにし、山にわなを仕掛けて野ウサギやシカを捕獲。シカの毛皮をなめして衣服を作り、肉はいぶして薫製にした。一年かけてあく抜きしたドングリも食用だ。食事は手製の石包丁と土器で調理し、味付けは一切なし。伸びた髪は石包丁で切り落とした。 そうした縄文人生活が話題を呼び、新聞やテレビ、海外メディアでも、大きく取り上げられるようになった。もともとサービス精神旺盛とあって、全国各地のイベントや講演会に駆り出され、「思いのほか多忙な縄文人ライフだった」と振り返る。 ≪毛皮姿で特急に≫ とはいえ、苦労も絶えなかった。講演会に行くため、毛皮姿のまま特急電車の指定席に座ると、隣の人が目も合わさずに席を外したことも。「それからは電車には普段着で乗り、最寄りのひと駅前で毛皮に着替えることにした」 「持病の貧血もあったが、二千年以上のときをさかのぼる生活実践を、記録して残すのは今しかない」と今春、約二十年にわたる縄文人生活にピリオドを打ち、「山崎三四造」に戻ることを決意。「ざんばら髪をばっさりと切ったときは、力士の断髪式と同じで、これまでの生活を思い出して涙が出た」と語る。 現在は、新聞や雑誌に掲載された記事の整理や、これまでの研究成果を記録する作業に余念がない。「十年後の八十四歳まで作業を続けて、その後はまた縄文人に戻るかも…」。原始生活にちょっぴり未練をのぞかせた。
by unkotamezou
| 2005-06-04 15:00
| 自然 生活 社會 医療
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