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誕生八十年秀麗無比なる 県民歌の時代 六

思いをつなぐ歌の力

 大曲の花火(全国花火競技大会)のフィナーレ。尺玉30連発で流れるのはシンガーソングライター津雲優さん(57)=秋田市=の「いざないの街」だ。秋田を宣伝しようと昭和58年に作ったこの歌には県民歌が2番まで挿入されている。

 花火と県民歌の組み合わせは演出担当の佐藤紘二さん(69)=現大会審査委員大仙市=の発案だった。以前に中学生が演奏する「大いなる秋田」を聴き県民歌を「おれの古里は秋田なんだと胸を張れる歌だと思った」という。演奏を編集して60回記念大会(昭和61年)の大会提供花火で使いその2年後からは津雲さんの歌をフィナーレで流している。

 大曲の花火は全国にテレビ中継されており背景で流れる津雲さんの歌は県民歌ファンの掘り起こしに一役買っている。

 秋田若杉国体(平成19年)式典専門委員長だった大友康二さん(80)=元県生涯学習センター所長秋田市=は「入場行進に『県民歌』と『県民の歌』のどちらを使うか委員会に諮ったら圧倒的に県民歌がいいとなった。学校の授業で必ずしも教えているわけではないが一般の認知度は県民歌が上回っているようだ。

 著書「歌う国民」(中公新書)の中で県民歌の復活劇を取り上げた渡辺裕さん(57)=東大大学院教授文化資源学=は県民歌は戦前文化を再評価する動きの中でよみがえったと分析。

 今戦後世代が歌いながら一体感を得ていることに渡辺さんは「一般的に人々の帰属意識の範囲が狭まりつつある中この歌があることで秋田県民という共通意識がつなぎ止められている面もあるのではないか」と話す。

 聞こえてくる県民歌はつながりを求める歌声ということなのだろう。

平成二十二年十月三十一日

誕生八十年秀麗無比なる 県民歌の時代
by unkotamezou | 2010-10-31 01:19 | 歴史 傳統 文化