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天皇陛下お誕生日に際し

天皇陛下のご感想

 この一年を顧みてまず思い起こされるのは世界的な金融危機に端を発した我が国の厳しい経済情勢により多くの人々が困難な状況に置かれたことでした。住む家を失った人々もあり心の痛むことでした。また5月以来流行が心配されていた新型インフルエンザは秋になって患者数が増加し来年がどのような状況になるのか案じられます。ワクチン接種などが進み流行が抑えられることを期待しています。

 今年も豪雨や台風など自然災害により六十人を超す人々が亡くなりました。家族を失った人々の気持ちはいかばかりかと察しています。五千人以上の命が失われた伊勢湾台風から今年は五十年になります。当時ヘリコプターに乗って上空から一面水に浸った被災地の光景に接したことや木曽川長良川揖斐川の木曽三川の氾濫の災害を受けた長島町の町長の話を聞いたことなど痛ましく思い起こされます。豪雨や台風については近年予報が詳しく報ぜられるようになりこれまでの治山治水の効果と合わせ災害による犠牲者数は減少してきましたがいまだに年間数十人の犠牲者が生じることは非常に残念なことです。防災関係者の尽力とともに国民の防災に対する関心が更に高まることを期待しています。

 今年の夏から裁判員制度が実施されるようになりました。かつて昭和初期に我が国でも短期間陪審制度が行われたことは戦後間もないころ当時の穂積東宮大夫後の最高裁判所判事から聞いたことがあります。しかしこの制度は日本にはなじまなかったということでした。この度の制度は以前の陪審制度とは異なり裁判官と一般の人が共に裁判に参加するという制度であり今後の様子を期待を込めて見守りたいと思います。

 七月には総督閣下の御招待により皇后と共にカナダを訪問しました。私自身は五十六年前エリザベス女王陛下の戴冠式に参列するため英国に赴く途次カナダを訪れましたがこれは結婚前私がまだ十九の時でした。この度の訪問ではカナダが良好な環境を守りこの地に住む様々な民族を大切にしながら国を発展させている姿に接し今日のカナダへの理解を深めることができました。私どもを温かく迎えてくださった総督閣下を始めこの訪問に心を寄せられたカナダの人々に心から謝意を表したく思います。

 昨年は十二月初めに体調を崩し静養期間の間に誕生日を迎えました。多くの人々が心配してくれたことを感謝しています。そのようなことから今年は日程や行事の内容を少し軽くするようにして過ごしてきました。昨年十二月の体調よりは良くなっていますので来年も今年のように過ごし皆に心配をかけないようにしたいと思っています。

 本年は私の即位から二十年私どもの結婚から五十年という節目の年に当たりますが四月の結婚五十年に際してまた十一月の即位二十年に際して多くの人々から祝意を寄せられたことに深く感謝の意を表します。

 この二十年間も我が国の人々は様々な困難を乗り越えてきましたが人々が高齢化の著しい社会状況に対処しつつ助け合って良い社会をつくるよう努める姿に接する時深い感動を覚えます。私どももこのような国民に支えられ日々の務めを行っていくことに幸せを感じています。

この一年のご動静

 今年は天皇皇后両陛下には四月にご結婚五十年を迎えられまた十一月には陛下のご即位二十年の祝賀行事がありました。七月には二年ぶりに外国ご訪問がありカナダ及びハワイへ二週間にわたる公的なご旅行をなさいました。したがって例年の諸行事にこれらの関連行事が加わり例年にも増してお忙しい一年となりました。

 陛下はこの一年も国事行為としてほぼ毎週二回のご執務を行われ内閣よりの上奏書類八百八十三件にご署名やご押印をされました。そのほか宮殿では恒例の講書始の儀及び歌会始の儀にご臨席になり親任式内閣総理大臣一名認証官任命式国務大臣始め七十六名信任状捧呈式二十四名勲章親授式大綬章文化勲章及び勲章受章者の拝謁など多くの儀式や行事に臨まれました。また総理大臣ほかの内奏や厚生労働事務次官日銀総裁などのご進講も受けられました。また皇后陛下とご一緒に各界優績者の拝謁のほか午餐や茶会など多くの行事に臨まれました。四月十日のご結婚記念日には皇族各殿下元皇族ご親族内閣総理大臣始め三権の長外交団長などの夫妻からの祝賀をお受けになったほか本年中に結婚満五十年を迎える夫妻約百組を宮殿にお招きになり共にお祝いになりました。天皇陛下ご即位二十年については十一月十二日に宮殿にて皇族各殿下元皇族ご親族の祝賀をお受けになったほか十三日には内閣総理大臣を始め各界の代表者十四日には各国の外交使節団の長などを茶会にお招きになり祝賀をお受けになりました。

 外国からは五月にシンガポール国大統領夫妻が国賓として来日し両陛下は宮殿にて歓迎行事に臨まれ宮中晩餐を催されました。また公式実務訪問賓客で来日したブルガリア国大統領夫妻カタール国皇太子殿下イタリア国及びオーストリア国大統領夫妻ハンガリー国及びトルクメニスタン国大統領のために宮殿で午餐を催されたほかセーシェル国パキスタン国及びペルー国の大統領フィリピン国及びウルグアイ国の大統領夫妻とご会見になりました。またヨルダン国王陛下アメリカ合衆国大統領は御所でのご昼餐にお招きになりました。そのほかアイルランド国ラトビア国東ティモール国及びオランダ国の首相ニュージーランド国の首相夫妻ベトナム国の共産党中央執行委員会書記長支那人民共和国の副主席をご引見になりました。外国国会議長のご引見は東ティモール国ラトビア国及びタイ国の三か国でした。新任の外国大使夫妻を招かれてのお茶日本滞在が三年を超える外国大使夫妻のための午餐離任する外国大使夫妻のご引見は例年どおり行われました。

 御所では両陛下で恒例の日本学士院会員日本芸術院会員文部科学省研究振興局長及び同伴する研究者青年海外協力隊及びシニア海外ボランティア帰国隊員国際交流基金賞受賞者などとお会いになったほか定例の外務省総合外交政策局長によるご進講や各種行事に関するご説明が合わせて四十六回ありました。そのほか勤労奉仕団賢所奉仕団や新嘗祭のための献穀者に対し五十六回のご会釈がありました。

 都内でのお出ましとしては陛下は国会開会式に臨まれまた両陛下にて全国戦没者追悼式を始め毎年ご臨席になっている日本国際賞国際生物学賞日本芸術院賞日本学士院賞などの授賞式のほか今年も数多く行われた各種周年式典などへのご臨席がありました。十一月十二日には天皇陛下御在位二十年記念式典が国立劇場で行われお言葉を賜ったほか夕刻には皇居前広場で国民祭典が行われ両陛下には二重橋にお出ましになり広場に集まった約三万人の国民の祝意におこたえになりました。今年は全国豊かな海づくり大会が東京で行われたため会場となった東京海洋大学品川キャンパスでの式典行事にご臨席になり併せて同大学をご視察になりました。

 今年の公的な地方行幸啓は二府六県埼玉神奈川福井茨城新潟千葉大阪京都にわたりました。全国植樹祭福井国民体育大会新潟などにご臨席になったほか地方の文化福祉産業の事情をご視察になりました。今年は横浜開港百五十周年に当たり五月に記念式典にご臨席になりお言葉を述べられたほか横浜開港資料館をご視察になり八月にはつくば市で開催された平成二十一アジアサイエンスキャンプをご訪問になりました。また十一月にはご即位二十年に当たり近畿地方の関係者を京都御所にお招きになり茶会を催されその折に大阪京都の地方事情をご視察になりました。この一年間に公的に地方行幸啓先でご訪問になった市町村数は十二市一町になります。

 両陛下は七月三日より十四日まで国賓としてカナダをご訪問になり帰路アメリカ合衆国ハワイ州を訪れられ十七日にご帰国になりました。カナダへは昨年の日加外交関係樹立八十周年の節目の年を迎えてのご訪問でした。東海岸ではオタワ市とトロント市を西海岸にご移動になってビクトリア市バンクーバー市の四都市をご訪問になりました。オタワ市では総督夫妻のまたトロント市及びビクトリア市ではそれぞれ副総督夫妻の歓迎をお受けになったほか各ご訪問先で関係者にお会いになり一般市民とご交流を持たれ歓迎におこたえになりました。またカナダの日系人は約五万人を数えますがご訪問の各都市で多くの日系人の歓迎を受けられ日系文化会館など幾つかの日系人施設をご訪問になり関係者からこれまでの体験をお聞きになるとともにその苦労をねぎらわれました。

ハワイでは両陛下のご結婚を祝して設立された皇太子明仁親王奨学金財団の五十周年記念晩餐会に臨まれ約千六百人の参加者と一時を過ごされました。同基金による奨学金は選抜されたハワイ大学学生大学院生の日本留学並びに日本人大学院生のハワイ大学への留学に支給され両陛下はこれらの奨学生に毎年御所でお会いになってこられました。今般このうちの多数の奨学生と再会され喜びを共にされました。

 本年二月よりご負担軽減のためご公務及び宮中祭祀に関わる調整見直しを実施しました。

 ご公務に関する主な変更点は以下のとおりです。

毎年行幸啓のある全国植樹祭全国豊かな海づくり大会国民体育大会日本国際賞授賞式国際生物学賞授賞式はご臨席のみとしお言葉はなしとする。

首相副大統領級の外国賓客は原則として公賓及び公式実務訪問賓客の場合のみご引見の対象とする。

外国国会議長のご引見の回数はしかるべき調整を図る。ちなみに昨年は九件ありました。

宮中祭祀につきましては新嘗祭について「夕の儀」は従来どおり出御になるとし「暁の儀」は時間を限ってお出ましいただくこととなったほか毎月一日に行われる旬祭については五月一日及び十月一日以外はご代拝により行うこととなりました。

 以上の見直しから約一年が経過しましたが陛下は十一月の記者会見でも述べられたとおりこのままお務めを続けられるご意向と拝察しております。

 なお昨年末から年初にかけご体調を崩されたため一部ご公務宮中祭祀をお休みになりましたがそれはご不例のためであり上記ご負担軽減は二月から実施されました。

 陛下は今年はお忙しくご研究にあまり時間を割くことはおできになりませんでしたが七月には東京海洋大学水産資料館にお出ましになり陛下のこれまでのご研究を展示した企画展をご覧になりました。また日本魚類学会には東京の近郊で行われる年には原則的に参加されていますが今年は東京海洋大学品川キャンパスで行われたため三年ぶりにご出席になり多くの研究者と楽しい一時を過ごされました。

 天皇陛下は例年のとおり皇居内生物学研究所の田で稲の種籾たねもみのお手まきお田植えお手刈りをなさいました。神嘗祭に際してはお手植えになった根付きの稲を神宮にお供えになりまた新嘗祭にはお手刈りになった水稲及び粟あわの一部を神嘉殿の儀にお供えになりました。

 陛下は平成十五年の前立腺癌のご手術後再発に対するご治療としてお続けいただいているホルモン療法の副作用として骨密度低下による骨粗鬆症発症の予防を始めご健康維持のためご運動に努めていらっしゃいます。早朝には御所の近くをまた日曜日の朝には東御苑をご散策になっていらっしゃいます。またテニスなどのご運動も努めてなさっていらっしゃいます。

 天皇陛下は十二月二十三日七十六歳のお誕生日をお迎えになります。

 当日陛下は午前九時に賢所における天長祭の儀のご拝礼をお済ませの後午前は皇族方を始めとし五回にわたり祝賀をお受けになりまた皇族方とお祝酒を共にされます。なおこの間三回にわたり長和殿ベランダに立たれ国民の参賀におこたえになります。午後は三権の長閣僚各界の代表者との宴会に臨まれその後元側近奉仕者などとの祝賀及びお祝酒次いで外交団を招かれての茶会の後御所に戻られ侍従職職員から祝賀を受けられます。夕方にはお孫様方の祝賀を受けられこの日の最後の行事であるご進講者ご関係者との茶会に臨まれた後皇后さまお子様方とのお祝御膳をおとりになります。

天皇陛下お誕生日行事一覧

平成21年12月23日水 時刻 出御 行事 事項 場所
午前 9:00 天皇陛下 天長祭の儀 三殿
同  10:00 天皇陛下 祝賀 長官始め課長相当以上の者参与及び御用掛 鳳凰の間
同  10:05 皇后陛下 祝賀 長官次長総代参与 花の間
同  10:20 両陛下お始め 一般参賀 春秋の間東庭
同  10:30 天皇陛下 祝賀の儀 皇太子同妃お始め皇族各殿下 松の間
同  10:30 皇后陛下 皇太子同妃お始め皇族各殿下 同上 梅の間
同  10:40 両陛下 お祝酒 皇太子同妃お始め皇族各殿下元皇族御親族 連翠南
同  11:00 両陛下お始め 一般参賀 春秋の間東庭
同  11:05 天皇陛下 祝賀 宮内庁職員及び皇宮警察本部職員 北溜
同  11:40 両陛下お始め 一般参賀 春秋の間東庭
同  11:45 天皇陛下 祝賀 旧奉仕者会会員元宮内庁職員及び元皇宮警察本部職員 北溜
同  11:55 天皇陛下 祝賀 堂上会総代3名 鳳凰の間
午後 0:55 天皇陛下 祝賀の儀 内閣総理大臣衆参両院議長最高裁長官 松の間
同  1:00 両陛下お始め 宴会の儀 内閣総理大臣始め 豊明殿
同  2:00 両陛下 祝賀及びお祝酒 元参与松栄会会員元側近奉仕者元御用掛 連翠北
同  3:00 両陛下お始め 茶会の儀 各国の外交使節団の長及びその配偶者 春秋の間
同  3:50 両陛下 祝賀及びお祝酒 侍従長始め侍従職職員 御所
同  4:30 両陛下 祝賀 愛子内親王殿下眞子内親王殿下佳子内親王殿下悠仁親王殿下 御所
同  5:00 両陛下 茶会 御進講者始め御関係者 御所
同  6:30 両陛下 お祝御膳 皇太子同妃両殿下秋篠宮同妃両殿下黒田様御夫妻 御所

平成廿一年十二月廿三日

天皇陛下お誕生日に際し
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by unkotamezou | 2009-12-23 09:22 | 皇室