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はやぶさ帰還 不撓不屈みせた宇宙の旅

 ついに「はやぶさ」が帰ってくる。7年間、60億キロに及ぶ宇宙の旅路からの帰還である。

 本体は地球の大気圏で燃え尽きるが、直前に分離したカプセルは、パラシュートを開いてオーストラリアの砂漠に着陸する。日本時間の13日深夜の予定だ。

 大人から子供まで多くの人が関心を寄せ、声援を送るはやぶさの帰還成功を願いたい。

 はやぶさは、宇宙航空研究開発機構の研究チームが開発した小惑星探査機だ。平成15年5月9日に、鹿児島宇宙空間観測所からM5ロケットで打ち上げられた。

 小惑星は太陽系の化石のような存在だ。それを調べることで、約46億年前の原始地球の素材がわかる。火星と木星の間を中心に、小惑星は数十万個存在する。

 はやぶさが訪れたイトカワは、地球寄りのその一つだ。そこで土砂の採取を試みた。はやぶさが地上に届けるカプセルには、運が良ければ、イトカワの微細なかけらが入っている。

 世界の惑星探査史上、月以外の天体に着陸した探査機が地球に戻ってくるのは初めてだ。自律的な判断能力を備え、ロボットとしての一面を持つ、はやぶさの成果は目覚ましかった。

 新しい推進装置のイオンエンジンで宇宙空間を長期間航行し、その性能を実証してみせた。イトカワの外観の細密な画像を地球に送信し、物理的な性質についても多くの情報を収集している。

 だが、2メートル角に満たない小さなはやぶさは、過酷な宇宙の長旅で満身創痍の状態だ。姿勢制御装置やイオンエンジンも次々、故障した。7週間にわたって通信が途絶したこともある。

 いずれも致命的なトラブルだったが毎回、はやぶさは立ち上がり、地球を目指した。不撓不屈(ふとうふくつ)のけなげさが人々の心を打った。親しみを込めて「はやぶさ君」と呼ばれることも多くなっている。これまでになかった現象だ。

 強い意志にも似た、はやぶさの回復力は、研究陣の周到な設計や管制チームの臨機応変の対応能力によるものだ。世界一を目標にしたからこそ実現できた輝かしい成果にほかならない。日本の科学技術力の結晶である。

 はやぶさがなすべき仕事は、カプセル分離だけとなった。最後の電力を振り絞り、地上に届けてもらいたい。頑張れ、はやぶさ。

平成22年6月13日8時57分

【主張】はやぶさ帰還 不撓不屈みせた宇宙の旅
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by unkotamezou | 2010-06-13 08:57 | 自然 科學 技術