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金星探査機「あかつき」十八日打ち上げ
≪地球の気候変動解明にも≫

 明け方や夕暮れの空に輝く金星。古来親しまれてきた「明星」に向け、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は18日、金星探査機「あかつき」を種子島宇宙センター(鹿児島県)から打ち上げる。日本の惑星探査機打ち上げは12年ぶり。あかつきは金星を覆う分厚い雲や吹き荒れる暴風などを観測する金星版の気象衛星で、成果は地球の気候変動の解明にも役立つという。(小野晋史)

■灼熱の惑星

 太陽系の惑星の中で、金星は地球のすぐ内側を公転する。大きさや質量が地球とよく似た“兄弟星”で、地殻やマントルといった内部構造もほぼ同じと考えられ、かつては海があった可能性もある。

 しかし、大気の環境は地球と大きく異なる。全球を厚さ数十キロに及ぶ硫酸の雲が覆い、大気の約96%を占める二酸化炭素の温室効果などにより、表面温度は平均約460度の灼熱(しゃくねつ)地獄となっている。金星の気象の中でも特徴的なのは、自転と同じ方向に秒速約100メートルで吹き荒れる「スーパーローテーション(超回転)」の存在だ。金星の自転は地球と逆向きで、一回転に243日もかかる。地面の60倍ものスピードの高速の気流が発生するメカニズムは謎だ。

 あかつきは赤外線、紫外線など波長の異なる5台のカメラを搭載し、金星を約30時間で一周しながら2時間おきに撮影。各カメラが異なる高度を観測し、スーパーローテーションなどの大気の動きを立体的に把握する。計画をまとめる中村正人JAXA教授は「現在は地球の大気は安定しているが、さまざまな状態を取りうるはず。金星と比較することで、地球の大気を今の姿にしている原因が分かるかもしれない」と話す。

■周回軌道に挑戦

 あかつきは国産大型ロケット「H2A」17号機で打ち上げられ、高度約400キロで分離。地球の重力を振り切るため、米スペースシャトルなどよりも速い秒速約12キロで金星への軌道に投入される。12月上旬に金星付近へ到達し、秒速約8キロに減速して金星を回る軌道に入る。日本は平成10年打ち上げの火星探査機「のぞみ」で周回軌道への投入に失敗しており、日本の惑星探査機で初の投入成功を目指す。

 中村教授は「金星は地球から離れているので電波が届くのに何分もかかる。あかつきは自律的に判断して金星の重力圏へ飛び込んでいかねばならず、一番のヤマ場だ」と話す。周回軌道は高度約300キロ~約8万キロの楕円形で、離れた場所からは金星の全体像を、接近した場所からはクローズアップ画像などを撮影。到着後1~2週間で観測を本格化し、データは速やかに公開する。

■宇宙ヨットも

 あかつきと同時に打ち上げられる小型ソーラー電力セイル実証機「イカロス」の挑戦も見逃せない。イカロスは宇宙空間で機体を回転させ、その遠心力で、約14メートル四方の樹脂膜を展開する。髪の毛の太さの約10分の1の極薄の樹脂膜を“帆”のように広げて太陽光のわずかな圧力を受け止め、ヨットのように航行する。樹脂膜が受ける圧力は微弱だが、宇宙空間では大きな推進力が得られるという。成功すれば世界初の快挙となる。約半年かけて金星付近へ向かう計画で、その間に航行技術などを検証する。

平成22年5月10日12時12分

金星探査機「あかつき」18日打ち上げ 雲や暴風など観測
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by unkotamezou | 2010-05-10 12:12 | 自然 科學 技術