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揺れる皇室典範会議 「男系」の重み
揺れる皇室典範会議 「男系」の重み…女帝慎重論に配慮 年内の報告書微妙に

 皇位継承のあり方を議論する「皇室典範に関する有識者会議」(座長・吉川弘之元東大総長)の論議が揺れている。発足当初は今秋にもまとめる予定だった報告書は、年内提出も怪しい雲行きだ。政府は愛子さまを念頭に、女性天皇容認に向けて論議を加速させる考えだが、ここにきて会議は、女性天皇慎重論にも一定の配慮をみせ始めている。背景には、百二十五代にわたり、父方に天皇を持つ「男系」による皇位継承が例外なく続いてきた皇室伝統の重みがある。

≪急ぐ政府側≫

 会議発足以降、十人の委員のもとには、皇室に関するさまざまな文献や意見書などが送付されている。このため、初めは「皇室に詳しいのは一人か二人」(研究者)とされた委員らも、徐々に皇室制度の歴史や伝統について知識を蓄えている。

 「(委員に)いろんな意見が入っちゃって…。これからは会議の頻度を上げてやりたい」と政府筋は、外部の意見は迷惑といわんばかり。皇位継承について国民的関心事でありながら、「政府と委員たちの中だけで閉鎖的に議論しようとしている」(自民党長老)との政府批判が絶えないのもこうした姿勢が見えるからだ。

 ある政府高官は、皇太子さまの次の皇位について「愛子さまには行く」としており、早めに会議の結論を得て、来年の通常国会に皇室典範改正案を提出したい政府の「初めに結論ありき」(自民党幹部)の思惑が透けてみえている。

≪伝統重視派≫

 「年内に(報告書が)まとまるかどうかは言及できない」

 三月三十日の第三回有識者会議会合後のブリーフで、吉川座長は早期の意見集約に意欲を示しつつも、実際は難しいという実情を認めた。

 この日の会合の主要議題は歴史上、十代八人いた女性天皇の即位経緯について。委員は(1)即位の時点で寡婦は四人、未婚が四人で、いずれも即位時や即位後に結婚していない(2)男系による皇位継承には例外がない(3)女性天皇の性格、位置づけをひとくくりにできない-などを確認した。

 吉川座長は「女性天皇の歴史をみると、非常に主体的に努力された女帝もいて『女性だからどう』とはほとんど言えない」と強調。さらに「皇位継承のあり方は、時代環境が非常に強く反映している」と述べた。

 男女平等や男女共同参画などの時代の趨勢(すうせい)に合わせて女性天皇容認を示唆したようにとれるが、一方で吉川座長は「長い二千年におよぶ歴史上守ってきた事実を、現在の状況だけで変えるのはよくない」とも指摘、“伝統重視派”にも配慮を示した。

≪容認に異論≫

 会議がこれまでに明確に合意したのは「国民の支持が得られる提案(報告書)」を出すこと。各種世論調査で女性天皇容認の意見が八割前後を占めることを考えると、「提案が女性天皇容認の方向となるのは明白」(政府関係者)だ。

 ただ、女性天皇が実現し、その子供が皇位を継げば、皇統が初めて女系へと移る皇室伝統の歴史的大転換となるが、「国民はこの事実をほとんど知らない」(皇室研究者)とみられる。

 また、会議では天皇、皇后両陛下や皇族方のご意向を聴くことについては、「全くそういう予定はない」(吉川座長)としている。しかし、皇室にゆかりの深い関係筋によると、「複数の皇族が『今なぜ典範改正なのか』『男系維持が望ましい』とのお気持ちだ」という。

 自民党の大物議員も先月、委員の一人の古川貞二郎前官房副長官に「安易に女性天皇容認に走らない方がいい」とクギを刺した。
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by unkotamezou | 2005-04-02 08:30 | 皇室