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源氏物語「梅枝の巻」最古級の写本 勝海舟の蔵書印

 甲南女子大(神戸市東灘区)が所蔵する源氏物語「梅枝(うめがえ)の巻」が、鎌倉中期(13世紀半ばごろ)の写本であることが分かり、同大学が29日、発表した。現存する「梅枝の巻」の中では、東京国立博物館所蔵の「保坂本」と呼ばれる写本と並び最古級という。本文には代表的な写本である藤原定家編纂(へんさん)の「青表紙本」にはない独自の文もあり、源氏物語研究の上で貴重な史料となりそうだ。

 写本は縦15・4センチ、横15・6センチのほぼ正方形で全74ページ。昭和48年に同大が京都の古書店から購入した。2ページ目には幕末に活躍した軍艦奉行・勝海舟が、明治維新後に名乗っていた「勝安芳」との蔵書印があり、幕末から明治初期には源氏物語が男女を問わず広く親しまれていたことがうかがえるという。

 今年8月、源氏物語千年紀にあわせ、同大文学部の米田明美教授(53)が再読したところ、現存の源氏物語の写本にはなかった、登場人物のせりふなどがみつかった。このため関西大学の田中登教授に鑑定を依頼。書体や装丁などから、鎌倉中期の1240~80年ごろに書写されたものであると結論付けられた。

 源氏物語は作者の紫式部が書いた原本が残っておらず、書き写しで伝えられてきた。写本の系統では藤原定家が書写・改訂した「青表紙本系」と、鎌倉初期に校訂された「河内本系」が約9割を占める。今回の写本は、その内容の違いなどから「別本系」であることが判明。今後の源氏物語の研究にも影響を与えそうだ。

 写本は11月4~7日と10日の5日間、甲南女子大図書館で無料で一般公開される。

■「新たな物語の世界読み取れる」

 国文学研究資料館の伊井春樹館長の話 「源氏物語は藤原定家が編纂した『青表紙本』が一般的になってしまったので、これまで『別本』と呼ばれるほかの写本にあまり注目が集まらなかった。鎌倉時代中期と古く、表現の異なる部分がある写本が出たことで、青表紙本とどういう違いがあるかなど、さまざまな研究が進む史料になると思う。今までと違う源氏物語の世界を読み取ることができるのではないか。そういう意味で、別本に光が当たるのはいいことだと思う」

【用語解説】源氏物語

 平安中期に紫式部が創作した長編物語。光源氏を主人公に恋愛など宮廷生活を中心とした帝王4代、70年余りを描いている。桐壺(きりつぼ)から夢浮橋(ゆめのうきはし)までの54巻から成る。江戸時代に版本が普及するまで、書き写しで伝えられてきた。鎌倉時代に藤原定家が編纂した「青表紙本」や源光行らによる「河内本」が代表的な写本とされる。今年は物語が記録の上で確認されてから1000年に当たり、京都などでさまざまな関連行事が行われている。

20/10/29 21:18

源氏物語「梅枝の巻」最古級の写本 勝海舟の蔵書印
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by unkotamezou | 2008-10-29 21:18 | 歴史 傳統 文化